☆☆☆★★

2014年公開。
ディズニーアニメ。ちょっと前の作品だけど、初めて見ました。それなりに面白かった。
舞台は日本と香港を融合させたイメージ?それとも世界の中華街における日本のベクトルを増幅させたイメージ?アジアっぽいけど、やっぱり多国籍っぽいイメージなのは、それが欧米人のアジアに対するイメージって事なんだろう。確かに私も欧人と米人の違いは明確ではないから、種族なんてそんなもんなんだろうな。
主人公のヒロは、ローティーンながら科学に対する知識も閃きも豊富。大学生の兄は、介護ロボット「ベイマックス」を作り出し、彼の友人達も様々な新しい技術を研究している。そんな様子を紹介されたヒロは、さらに憧れの科学者・キャラハン教授が彼らの指導教官と知り、大学編入に熱意を抱きます。発表会で「マイクロボット」という、小さなロボットを集合体で扱うことにより様々な可能性を見せたヒロは、キャラハンから大学編入の許可をもらうのですが、よりによって会場が火事に。キャラハンを救出しようと建物に戻ったヒロの兄は爆発に巻き込まれて犠牲となってしまいます。悲嘆に暮れるヒロに、兄の作った介護ロボット・ベイマックスが寄り添います。そんな時、唯一手元に残ったマイクロボットが反応を示します。マイクロボットはコマンドにより集合体になろうとします。火事で焼失したはずのマイクロボットが、どこかに存在している。マイクロボットの行方を探ってみると、そこでは焼失したはずのマイクロボットが大量に製造されていました。それを操る仮面の男。ヒロとベイマックスは謎を解くべく、兄の友人達とチームを組むことに。
と言うのが大まかな荒筋で、この兄の友人達というのが、なかなかのクセモノというか変人というか、一芸に秀でている天才というのはやっぱりどこかおかしいというかネジが飛んでいるのでしょう、そこが作品としては面白いんだけど。
紆余曲折、艱難辛苦を乗り越えて、全ての謎を白日の下にさらけ出すんだけど、あまりスッキリ後味が良い感じではないね。
いつものようにミスリードを誘う「黒幕」の正体は、リードされた「それ」とは違った。彼か、彼女か?あるいはひょっとして彼かも?という「裏を読む」選択肢の一つに見事に引っかかっていました。動機は意外ではありましたが。最近、「意外性」が当たり前になってしまって全然「意外」ではないのが難しいところ。善人や協力者や犠牲者が、実は敵だったなんてパターンは珍しくなくなってしまいました。
謎解きと敵の正体はさておき、当初は兄の仇討ちに囚われていたヒロでしたが、仲間の説得や、敵の正体とその事情を知ったことで、仇討ちをしても兄が帰ってくるわけではない、そんな事をしても兄は喜ばないし、そんなことは兄は望んでいない、という事を悟ります。なんて聞き分けの良いローティーンなんだろうか。
登場人物がそれぞれに個性的で面白いです。さらに本来は介護ロボットのベイマックスが、けなげで献身的で可愛いと思いました。装甲を付けられ、戦闘に荷担させられるなんて、ベイマックスの本懐ではないんだろうなぁなんてロボットの「気持ち」を思いやったりして(笑
そんな、気持ちや心がないはずの、任務に忠実なはずのロボットなのに、ロボットだからこそ、人間を守るために自己犠牲をいとわない、自己犠牲に疑問さえ持たない、その純粋で真摯な使命感に、人間以上に心を打たれました。
それにしても超技術を開発した大学の研究室のみんなも凄いけど、それをヒーロー活動に応用するヒロが一番年下なのに一番凄いって事か。まぁヒーロー活動に駆り出される介護ロボットのベイマックスの立場はどうなんだ、とは思うけど(笑
科学技術は平和と発展のために使ってください。