☆☆☆★★
1998年公開。
3DCG版がリメイクされ、かなり評判が良かったそうなので、オリジナルを観てみました。
結論から言うと、大人の観賞に堪えうるように作るのならば、かなり深くて良い作品だと思います。が、いかんせんそこはポケモン。子供向けアニメなので、いろいろザル設定なのは仕方がないのかな。
当時はコピーと言われていましたが、現代で言うならクローンですね。クローンの存在意義やオリジナリティを問う、なかなか難しいテーマを扱っていたのではないかと思います。オリジナルとクローンのケンカなんて、客観的に見れば自分で自分を殴るようなもの。その虚しさが十分に伝わってきました。
個人的な感想になりますが、この作品の着眼の根源は「鉄腕アトム」でしょうか?ミュウのクローンを作る目的が、亡くなった娘の再生という動機といい、その博士の風貌といい、鉄腕アトムの天馬博士を想起させました。鉄腕アトムは、息子を亡くした天馬博士が息子そっくりなアンドロイドを誕生させることに端を発しています。本作で娘のアイのクローンを作るために、実験としてミュウツーを作った博士も鷲鼻・長髪で天馬博士と共通点があります。日本のSFのパイオニア「鉄腕アトム」へのオマージュだったのか?
クローンが存在意義を求めて自分を生み出した社会に理由を問うというと、「ブレードランナー」もそうですね。他にも似たような映画がいくつかあったように思います。本作は、その子供版でしょうか?そこまで深い意味を求めないにしても、同じポケモン同士、傷つけ合う理由はないというのは、人間愛にも通じるし、イジメなんて意味がない、という事にも通じるような気がします。
ただ正直言って、結末は消化不良というか、子供達にもわかりづらかったんじゃないかなという気はするのですが。