☆☆★★★
2020年公開。
「怪獣」というワードとのんちゃんが出演しているというのに惹かれて観ました。それ以外は事前情報なし。
コロナ禍という現代を舞台にした作品で、出演者はみんなリモート共演。なんというか、後世に送る記録映画的な立ち位置としては、まぁアリなのかなとは思うけど・・・。まぁとにかく釈然としません。
のんちゃん、やっぱりこの方は憑依型の女優なんだろう。ちゃんとコンセプトを与えられてのお芝居は非の打ち所がないけど、素に近い演技というか、日常的な演技をさせると全然ダメだな。バラエティやトーク番組でも全然噛み合ってなかったけど、そういう間の悪さが如実に出てしまって逆に変な緊張感があるわ(笑
主演の斎藤工は、アレだろう、「シン・ウルトラマン」の主演が決まっていたからこの作品にもオファーされたか、逆にこの作品に出たから「シン・ウルトラマン」の主演に抜擢されたか、いずれにしてもウルトラマンがらみであることに間違いはないな(笑
斎藤工がリモートで話す樋口真嗣監督ってウルトラマンと関わり合いが深いの?と思ったら、シン・ゴジラ、シン・ウルトラマン、平成ガメラの監督だった。シン~シリーズって庵野が監督だとばかり思ってたんだけど、庵野はあくまで原案・総指揮・総監督って立ち位置らしい。面倒くさいな。
現代では「リモート」で通じるけど、後々のために補足しておくけど要はインターネットを使ったテレビ電話みたいなもの。コロナ禍で出社せず在宅勤務をすること、インターネットを使ってデータのやりとりをして業務を行うことを「リモート勤務」と呼んでいたので、仕事にかかわらず直接会わずにネット回線を利用してコミュニケーションを取ることを、略して「リモート」と呼ぶようになりました。
だからこの作品、ロケもなんもない。それぞれの出演者が自宅から発信し、会話劇を展開する。すごーく狭い世界観だし、すごーく動きがない。
さらに画面はモノクロ。B級映画か、同人映画かってテイスト。挙げ句に「怪獣」と呼ばれるものは手のひらサイズで動きもなく、まんま粘土細工というシロモノ。安上がりって言うよりも、むしろ安っぽい。出演者が豪華な割りには、作品自体は凄く安っぽい。作りも安っぽいけど、テーマも演出もオチも安っぽい。なんだこりゃ、と思って見終えたら監督が岩井俊二。あ~~~~~、岩井俊二じゃ仕方がない。私の苦手な岩井俊二。私とはセンスが合致しない岩井俊二。それがわかっていたら見なかったのに、という後悔すら感じる。
コロナ禍、外出が制限され小売業・外食産業は客が入らない苦境の時代。一方でネット通販は花盛り。そこに新しいペットとして登場したのが「カプセル怪獣」。この倒錯っぷりはコロナ禍の迷走を表現していて良いと思います。いやでもちょっと待て、「カプセル怪獣」って怪獣がカプセルに入ってるんだぜ?劇中のそれは、どう見ても「怪獣の卵」だよなぁ、カプセル怪獣だったら最初から怪獣だよなぁ、育てるって発想はないはずだよなぁ。
それはさておき、怪獣を孵化させて育てるのは良しとしよう、シーモンキーなんてのも昭和の時代は流行ったし。しかし「宇宙人」までネット通販って、それは人権の蹂躙も甚だしいんじゃないか?正直、「それは違うだろ」と思った。こういうい思慮・配慮のなさが「B級映画か、同人映画か」って言われる所以なんだけどな。
とりあえず、制作サイドのウルトラマン愛はわかった。斎藤工の育てるカプセル怪獣が、最初はミクラス・アギラー・ウインダム風であったり、それがグドン風になったりガッツ星人風になったりというのも、楽屋落ちで面白かった。全部、観たまんま粘土細工だけどな!しかし最後に、マスク風になるって、なに?コロナ対策にはやっぱりマスクですよ~というオチ?しかも極小のマスク風のモノになってとても鼻口を覆えないってのは、小サイズの布マスクを税金を無駄に使って全世帯にばらまいた悪名高き「アベノマスク」への皮肉でしょうか(笑
いやもうだったら、こんな回りくどいことはせずに最初からアベノマスク批判の映画作りゃいいじゃん。
のんちゃんが購入したペロリンガ星人に感化されて、のんちゃんが宇宙に行く!と言いだしたのは元ネタを知っていれば大爆笑もんなんだけど、いかんせん肝心のペロリンガ星人が「電波を通すと姿も見えなければ音声も送れない」というトンデモ仕様なので、のんちゃんの一人芝居。会話の相手、斎藤工にはペロリンガ星人は見えず、当然観客にも見えないと言うクソ展開。なんなん?着ぐるみ作る予算はなかったってこと?フザケてんなぁ。
怪獣のマスクを被った女性が踊り狂うイメージシーンが挿入されるのも謎。いかにも映画を芸術の領域に昇華させたいみたいな姑息な演出が垣間見えて、この無駄なカットもいかにも岩井俊二的で好きになれない。しかも造形が粘土細工(笑
なんなんでしょうか、版権とか著作権の問題なんでしょうか?立派な映画を作ろうと思うなら、そこらへんをクリアにしてちゃんとわかりやすい見応えのある作品を作ってもらいたいもんだ。だからB級映画か同人映画か、って言われるんだ。
☆一つか☆なしでもいいかとも思ったんだけど、斎藤工はこんなクソ脚本、クソ演出でも頑張っていたいし、のんちゃんを見れたのでオマケです。