☆☆☆☆★

2022年公開。
映画館で観てきました。
原作はマンガで、ずいぶん前に連載が終わっているのでネタバレもへったくれもありません。山王戦です。
正直、なんで今このタイミングでスラダンを映画化?と思いました。実写化というわけでもなく、アニメで。しかもフルCGという事だし、テレビアニメ時代とは声優も違うということで、当時のアニメファンからは批判の声も上がっていました。一方で観てきた人の感想の中には「アニメファンより原作ファンの方が楽しめるかも」「心配するほど酷い出来ではなかった」というのもありました。
何を隠そう私は原作厨です。基本的にテレビアニメは観ません。特にスポーツもののテレビアニメは原作のスピード感が失われるケースが多いので観ません。そうでなくても原作から膨らませた自分なりの作品観があるので、映像化されたものが自分のイメージと乖離しているとイヤなのでアニメは観ません。私の中には原作のイメージはあっても、アニメのイメージはありません。アニメを知らないから声優がどうとかいう問題もありません。だったら、映画を楽しめるんじゃないかと思って観てきました。
結論から言うと、めっちゃ面白かった(笑
ほぼ原作のイメージを踏襲しており、言うことありません。テレビアニメを観ていないからテレビアニメとの違いを比較する必要もないし。フルCGによる動きは心配ではあったけど、それほど気にならなかったな。むしろ疾走感が表現されていたし、迫力もあったし、見応えがあったと思います。
映画化に際して、原作では描かれなかった宮城リョータの過去が描かれます。試合のシーンにリンクして、それまで歩んできたリョータのバスケット人生が差し挟まれます。このエピソードに関しては原作にないので、ヘタに書くとネタバレになっちゃうかな。リョータは「宮城」という名字から予想できるとおり沖縄県の出身。神奈川県には中学生の時に転校してきて、転校直後に実はすでに三井に出会っているというエピソードも。因縁深いよな、三井とは(笑
THE FIRST SLAM DUNKというタイトルの意味を考えていたんだけど、ネットでもいろいろな意見があって「FIRSTということはSECONDもあるのか?」という続編待望論もありました。ただ大方は「1番目のと言う意味ではなく、初めての、最初の、と言う意味ではないか」という意見が多かったですね。私なりに解釈すると、THE FIRST「SLAM DUNK」すなわち「SLAM DANK」という物語の始まりという意味ではないかな。湘北メンバーそれぞれにバスケットボールを始めたきっかけはあるんだろうけど、実は最も早くバスケットボールを始めたのは宮城リョータだったって事なのかな?リョータはポイントガードというポジションで、いわば試合を組み立てる役割。彼の視点で作品は描かれているので、そういう意味でこのタイトルになったのかなという気がします。まぁくどく言えば何故「THE FIRST OF SLAM DUNK」ではないのか、とか疑問も残りますが。そこは制作者しかわかり得ないことなのかな。
原作の主人公である桜木は、最初はゴリの妹の晴子さんに一目惚れしてバスケットボールを始めたんだけど、連作が進むにつれて恋愛要素は希薄になっていきました。映画では、さらに輪をかけて晴子さんの存在感が薄くなってしまいました(笑
一方で、映画では語られませんがリョータがべた惚れしている彩子さんは存在感を増していました。ほぼ内助の功ですね、お互いにサバサバしているけど(笑
流川は、原作通りに全然しゃべらないなぁ(笑
めがねクンの存在感が薄い。キツネがイケメンに描かれすぎ。原作の主人公である桜木も、本作では目立ちすぎることもなく。それでもちょいちょい原作にあったギャグシーンを挟んでくるあたり、やっぱり原作ファンとしては楽しめました。
試合終了間近のシーンは、本当に手に汗握る緊張感があって、見応えがありました。
強いて不満があるならクライマックスシーンで桜木の「左手はそえるだけ」のセリフがなかった事かな。
桜木のエピソードではないので、エンディングは原作とは違っていたけど、それはそれでそういう未来もあったのかもと思わせてくれて楽しかった。原作者が監督という事なので、作者の描きたいものが描き切れたのではないかと思います。