彼は慣れない異国暮らしが続いたため、持病を悪化させて、床に臥せてしまう。
そこでハリスは通訳を通し看護婦をつけるよう、幕府の役人に依頼した。
しかし、当時の日本には「看護婦」など存在しなかったため、役人たちは「ハリスは女を欲しがっている」と勘違い。
こうして連れてこられたのが、下田一の人気芸者であった「斎藤きち」である。
彼女にはすでに婚約者がいたにもかかわらず、幕府は条約締結要求の矛先を他に向けるため、きちを連れていく必要があったのだ。
きちは婚約者との仲を半ば無理やり引き裂かれ、ハリスのもとに送り込まれた。だが、当時の日本人は異国の人々によくない偏見を持っていたため、婚約を破棄してハリスの元に行った彼女は、世間から冷たい目で見られる。
また、きちが一月に十両という多額な報酬を得ていたことが、さらに世間を騒がせた。
三ヶ月後、ハリスの病態が回復し、きちは解雇される。
彼女は再び芸者として町に戻るものの、世間からの視線は冷たく、”唐人(=外国人)お吉”と呼ばれるまでになった。
その後、彼女は酒に溺れ、51歳の時、川に身を投げ、命を絶ったのである。
結婚を目の前に、幸せを迎えるはずだったきち。
彼女の幸せは、国の政略によって奪われてしまったのだ。
終わりに、懐かしのアイドル画像でお楽しみください煜
