恐いけれど入りたい、入りたいけどやはり恐い、縁日に出現する「見世物小屋」には、謎と恐怖が渦巻いている。おどろおどろしい(ちょっぴりHな)看板の奥を調査したぞ。
見世物小屋の看板には、下着のような水着のような衣装を着た女がよく描かれている。これを見ているだけでもドキドキするものだ。調査隊は、金髪美人が描かれる「ヘビ女」の小屋に突入した。
中は意外に混んでおり、立ち見の客もいる。壇上にボロ着をまとった小柄な婆さんが現れた。
…えっ…あの婆さんがヘビ女なの?
婆さんは1匹の本物のヘビを取り出した。茶色だし、たぶんジムグリだろう。おとなしいヘビで、大きさからすればまだ子供だ。婆さんはそのヘビの尻尾を自分の鼻の穴に入れた。そのまま口から出す。それでおしまい。ふざけてんのかっ!?
調査隊からの報告をまとめてみよう。
「ヘビ女」
別の縁日で目撃されたものは、婆さんではなくオバサンで、生きているヒヨコを本当に噛み殺していた。ヘビなら丸呑みじゃないの。
「ヤギ女」
オバサンが黙々とちり紙を食べ続ける。
「オオカミ少女」
少女ではなくオバサンで、奇声を発しながら死んでいる鶏の羽根を毟る。料理の下拵えとどう違うのだろうか。
「牛女」
やけに太ったオバサンが四つん這いで歩く。両足は捻れたような形で、どうやら本当に足が悪いらしい。
「ろくろ首」
暗い壇上で正座するオバサンの首が伸びるが、その首はどう見ても偽物、正座している胴体はおそらく人形で、背後の暗幕から顔だけ出したオバサンがそろそろと立ち上がっているだけ。
なんだろうか、詐欺であろうか、ともかくも共通するのは、看板の絵と出演者が違いすぎる、ということだ。看板にいくら美女、美少女が描かれていても、実際にはオバサンか婆さんしか出てこない。それにしても、出演怪人はなんで「女」ばかりなのだろう?