昭和32年12月17日、東京の上野動物園において、日本初のモノレ-ルが営業を開始した。
モノレ-ルとは、1本の線路によって運行される列車のことである。ただし、普通の2本線路と違って、必ずしも列車が線路の上だけを走るわけではない。今回上野動物園に登場したモノレ-ルのように、列車が線路の下にぶら下がって走る「懸垂式」と呼ばれるタイプもある。
実は、日本には戦前から何度もモノレ-ル設置計画があった。その中には、新宿淀橋から高井戸・稲田・矢的・座間などを経由して平塚まで達する路線や京都・大阪・神戸を結ぶ路線など、大規模な計画もあったが、残念ながら実現しなかった。
戦後の昭和26年には、東京・豊島園においてモノレ-ルが登場したが、これは遊戯施設として運行されたため、営業施設では今回の上野が初となる。
というわけで、さっそく乗ってみたのだが、その余りの短さに驚いた。本園のらくだ舎から分園のかば舎まで、たった331mの距離を走っているだけなのである。これで料金は大人30円(子供15円)。都電の大人料金が13円なのだから、高いと言わざるを得ない。
さてその乗り心地だが、下に線路も何もなく、ただぶら下がっているだけというのは、甚だ心許ない。たぶん安全なのだろうが、突然下に落ちやしないかとハラハラする。まだ乗ったことはないが、飛行機もこんな気分なのだろう。