ハプスブルク家のフリ-ドリッヒ3世は、後世「神聖ロ-マ帝国の大愚図」と呼ばれた人物である。
神聖ロ-マ皇帝に選ばれたのも、「この男なら専横もないだろう」という選帝諸侯の思惑もあったからだという。
在任中も目立った功績は残さなかったが、長寿であり、歴代最長となる41年の治世を全うした。
その間ライバル達が次々と死んだため、図らずもハプスブルク家隆盛の基盤を固めることになる。
そんなフリ-ドリッヒ3世には、館の壁などに「A・E・I・O・U」という謎めいた文字を盛んに書き付けている。
「Austriae Est Imperare Orbi Universo(オ-ストリアは全世界の支配者である)」というラテン語の頭文字だとする説など、歴史家によって300以上の学説が唱えられているが、いずれも確証を得ず、凡王の胸中はいまだ謎のままである。