7歳以降のシニアのワンちゃんの飼い主さんは、月日を追うごとに愛犬の老いを感じる飼い主さんも多いものです。今回はシニアのワンちゃんにあげたいごはんについて解説します。また、シニアのワンちゃんに対し、気をつけたいことや心がけたいことをまとめましたのでぜひ参考にしてください。
シニア期に入るとワンちゃんにはどういう変化がある?
年齢が上がってきたワンちゃんには、さまざまな変化がみられるようになります。例えば下記のようなことは、目に見えてわかりやすい変化ではないかと思います。
・寝ている時間が長くなる
・動作がゆっくりになる
・お散歩の時間が短くなる
・食が細くなる
・かたい食べ物を食べにくそうにする
・毛の色が薄くなる
・代謝が落ちる
・太りやすくなる
・味覚、嗅覚、視覚が鈍る
・性格が変わる など
このような変化が見られるようになります。
中でも、「体を動かすことが減った」と感じる飼い主さんは多いのではないでしょうか。
シニア前には、走ったり、おもちゃのボールで遊んだりしていたワンちゃんが、お散歩で歩く速度が落ちたり、ボール遊びに誘っても気乗りしない態度を見せたりと、明らかな老化を感じることが多くなってくるでしょう。
ワンちゃんの年をとるスピードは、ひとの約7倍だともいわれています。シニア期に入る7歳のワンちゃんをひとの年齢に換算すると、小型犬は44歳、中型犬は48歳、大型犬は54歳です。
内臓機能にも衰えが出始めるため、成犬時代に比べ、効率的に体内に栄養を取り込むことが
できなくなるワンちゃんも少なくありません。
次の章では、老化によって変化がみられるシニアのワンちゃんにあげたいごはんについて詳しく解説します。
シニアのワンちゃんにあげたいごはん
シニアのワンちゃんの食事は、その時々で調整する必要性が出てきます。
高齢になればなるほど、昨日は食べてくれたのに今日はまったく食べてくれないという事態も起こりがちになります。
また、体を動かすことが少なくなったのに、成犬時代と同じご飯の量を与え続けてしまうと肥満の原因になります。
運動量が減り、代謝が落ちて消費するカロリーが減ったシニア犬は、給餌量を減らしたり、カロリーを調整したりする必要が出てきます。
では、シニアのワンちゃんにはどのようなごはんを与えたらよいのでしょうか。具体的な対策をご紹介していきます。
ドッグフードを「シニア犬用」または「半生タイプ」か「ウェットフード」に替えてみる
シニア期に突入したワンちゃんでも、成犬時代と変わらずに食べる子もいますが、摂取したカロリーを消費しにくくなるため、太りやすくなってしまうのもこの時期の特徴です。
対策としては、太りにくいように低脂肪でカロリーが控えめに設定されているシニア用のドッグフードに切り替えてみるのもよいでしょう。
販売元により商品名称は異なりますが、ドッグフードには「7歳以上の犬用」のものがあります。
また、年齢を重ねるにつれて口内の乾燥が進んだり、歯が弱くなったりして、カリカリ感のあるドライフードは食べにくいかもしれません。水分量の多い半生タイプかウェットフードに替えることで食いつきが戻る可能性もあります。
しかし、替えたとしてもワンちゃんが食べてくれるとは限らないため、食べきりサイズのもので様子をみるとよいでしょう。
ボーンブロスを取り入れてみる
ボーンブロスは「飲む点滴」と言われているほど、栄養素が取りやすいスープです。
どのタイプのドッグフードも受け付けなくなってしまった、歯ごたえのある食べ物だと食べにくそうにしているなど、これまでの食事を食べてくれなくなってしまったシニアのワンちゃんにおすすめです。
骨付き肉と野菜を煮込んだボーンブロスは栄養価が高いこともさることながら、風味もあるため、嗅覚や味覚がにぶってきたシニアのワンちゃんの食欲をそそってくれる可能性は高いでしょう。
野菜はワンちゃんの好みに応じたものにすると、さらによさそうですね。また、ドッグフードにボーンブロスをかけてあげると、柔らかくなり食べやすくなります。水分補給もできるメリットもあります。
食欲が落ちてしまい、ワンちゃんの栄養不足が心配ならば、ボーンブロスを試してみる価値は大いにあります。
※ボーンブロスの詳しい内容について興味のあるかたは既出の記事をご覧になってみてください。
サプリメントを与えてみる
健康維持をサポートしてくれるサプリメントを取り入れてみるのもひとつの案です。
関節の動きを滑らかにするためのコンドロイチンなどが含まれているものや、認知症予防に効果が期待できるDHAやEPAが配合されているものなど、シニアのワンちゃん専用のサプリメントが数多く売られています。
ただし、サプリメントを飲んでも必ず効果があるとは限りません。少しでも効果があればいいな程度の気持ちで与えましょう。
気をつけたいこと
飼い主さんのなかには、愛犬の老いていく姿に戸惑いがあるひともいるかもしれませんね。
しかし、成犬時代には見られなかった「甘えてくる」「抱っこをさせてくれるようになった」などのかわいらしい一面をみせてくるワンちゃんも少なくありません。まるでパピーの頃に戻ったかのように、身を寄せてくるシニアのワンちゃんに、愛情があふれ出る飼い主さんも多く見受けられます。
それでは、大切で愛らしいシニアのワンちゃんに対し、飼い主さんが気をつけたいことをまとめましたので参考にしてみてください。
ごはんやおやつのときの誤嚥に注意
シニアのワンちゃんの食事面で一番気をつけたいことは誤嚥です。誤嚥により肺炎を引き起こし命にかかわることもあります。
誤嚥にならないように注意すべきことは5つです。
・食べやすい大きさにする
・飲み込みがしやすいやわらかさにするか、ペースト状にする
・時間がかかることを肝に銘じておく
・食べることを強要しない
・目を離さない
自力で食事をすることが可能であれば、飼い主さんは見守るだけでよいですが、食べ物の大きさややわらかさには注意すべきです。
また、水分不足が気になるワンちゃんには、水分量が多いものを時間をかけてゆっくり与えるようにしてください。
自力での食事ができなくなっているワンちゃんには、ペースト状にした流動食をスプーンなどで、ゆっくりと与えましょう。
時間がかかるため食事の介助は大変ですが、ワンちゃんは飼い主さんだけを頼りにしています。ワンちゃんの様子を見つつ、その時々の食欲に応じて与えてあげるようにしてくださいね。
足腰の負担を軽減させるような環境づくり
つまづきや転倒防止のために、室内はできるだけバリアフリー化したいものです。また、フローリングは滑りやすく、足腰の弱ってきたシニアのワンちゃんには負荷がかかりがちです。滑り止め防止のためにカーペットなどを敷いてあげるといいですね。
階段があるお家なら、昇り降りできないように柵をつける、ソファに飛び乗る習慣があるなら2〜3段の緩やかな階段をつけてあげるなど、足腰に負担がかかりにくくするための工夫が必要になってきます。
玄関先が階段になっているお家の場合は、ワンちゃん用にスロープを設けるとよいかもしれませんね。
さまざまな工夫を施すことで、老いが見られるシニア期のワンちゃんでも快適に暮らせるようになります。
心がけたいこと
シニア期に入り、さらに月日が経過するごとに、ワンちゃんの動作はどうしても鈍くなってきます。ご飯を食べることも、お散歩で歩くことも、ゆっくりになりがちです。
しかし、時間に余裕のないときや悪天候時のお散歩では、ワンちゃんを急かしてしまうこともあるかと思います。
それでも飼い主さんのよろこぶ顔が見たくて、食べることや歩くことを懸命にがんばるワンちゃんもいるでしょう。
ワンちゃんも否が応でも年をとります。そしてその年を取るスピードはひとの約7倍も早いのです。
体力や食欲が落ちたり、動作がゆっくりになったりすることは仕方のないことです。飼い主さんは、ワンちゃんが「今までと違う」ことを受け入れ、「どのようにすれば愛犬が快適なシニアライフを送れるかどうか」ということを常に心がけましょう。
愛犬を大切に育てている飼い主さんの願いは、ワンちゃんに「できるだけ健康でいてほしい」そして、「少しでも長く一緒にいたい」ということではないでしょうか。
そのためにもワンちゃんの快適な暮らしを整えることは、飼い主としての責務といっても過言ではないはずです。
老いはひとにもワンちゃんにもやってくるものですが、ワンちゃんはそのスピードがとても早く訪れてしまうということを忘れてはいけません。
まとめ
シニアのワンちゃんにあげたいごはんについてご紹介しました。
7歳以降のシニア期に入ると、動きがゆっくりになったり、毛の色が薄くなったりするなどの目に見える変化がでてきます。
そして、食べ物を消化することや咀嚼する機能の衰えも徐々に見られるようになります。
シニアのワンちゃんの食事面で飼い主さんに気をつけてほしいことは、必要に応じて食事内容を見直してみるということです。
例えば、
・ドッグフードを「シニア用」または「半生」「ウェットフード」に替えてみる
・栄養価が高いボーンブロスを取り入れてみる
・消化機能や関節疾患予防のためにサプリメントを与えてみる
このような対策を取ることをおすすめします。
成犬のときと同じ給餌量だと、代謝が落ち始めたワンちゃんは太りやすくなってしまいがちです。肥満はあらゆる疾患を招きやすくなるため注意が必要です。低脂肪、低カロリーを意識するようにしましょう。
しかし、もっとも大切なことは、食事面でも生活面でも、できる限りシニアのワンちゃんのペースに寄り添ってあげることです。
ワンちゃんのシニアライフが健康で快適なものになるように、食べやすさと暮らしやすさの工夫について検討してみてはいかがでしょうか。