クリエイターのコンテンツ配信について考える。クリエイターという枠だとミュージシャンとかも含むが、出版社周辺を例に話を進める。
まず出版社を通すメリットについて考えてみる。ほとんどのクリエイターが出版社を通しているからには何か理由があるはずだ。これは以下のような点が挙げられる(重要度順に並べたつもり)。
■出版社の担う役割
・コンテンツの配信
・プロモーション活動、流通網
・編集
・無名作家の支援、育成
他にも著作権の管理等もろもろの事務作業があるだろうが割愛。
現時点で出版社に頼らざるをえない最大の理由は、個人の力では作品を書店に並べることが難しいからであろう。もしあなたが面白い小説を書いたとしても誰にも興味を持ってもらえず、本屋にもおいてもらえないという状態になる。多くの人に読んでもらうためには出版社の人に見せ、原稿が採用され、出版をしてもらい本屋においてもらうのだ。そうすることで多くの人に作品が広まるきっかけになる。
個人でWeb上で販売するのはどうなのかという意見もあるだろう。しかし多くは紙の書籍と比べて大きな利益をあげられないと思う。というのもコンテンツの利益構造が書店販売に大きく依存しているためだ(2017年時点)。
また、出版社の持つ影響力もあなどれない。名もない新人が書いた文章でも、かたや直木賞をとった作品、かたやいつのまにかWebにアップされていた作品ではどちらを読みたいだろうか?
ではなぜ今の現状からクリエイター中心のコンテンツ配信に置き換わるかを考えていきたい。以下の要因が考えられる。
■出版社離れの要因
・出版社の持つビジネスモデルの陳腐化
・出版社のロイヤリティ率
・出版部数小ロット化の流れ
出版社の持つビジネスモデルの陳腐化とはなんだろうか?ひらたくいうと「それ別に出版社じゃなくてもできるんじゃね」ということだ。昔は出版というものは一大イベントだった、組版をしたり写植したり色校正したりとしてたらしい(今でもやられているが)。
しかしパソコンで簡単に組版ができるようになり、Kindleで誰でも本を販売できるようになると話は変わってくる。出版社に頼らなくても本を世に出すことができるからだ。それは出版社が持っていたビジネスモデルの優位性がなくなったことを意味する。
もう一つ重要なのがロイヤリティの分配率だ。
例えばあなたは400円の本を出版社を通して1冊販売するとする。出版社は印税を10%としている場合が多い。そうするとあなたは40円を手にすることができる。1万冊売れると40万円もらえて嬉しい。
今度はKindleストアに独占契約で電子書籍を出してみよう。400円で1冊販売してみた。そうするとあなたは280円を手にする。1万冊売れると280万円だ。出版社を利用した場合とくらべてとんでもなく稼げてしまっているではないか。Kindle独占だと、30%の手数料で書籍を販売できる。つまり印税70%の計算だ。もし売上が、出版社を通した場合の5分の1しか見込めなかったとしても充分ペイできる。
もちろん両者の作業フローは異なる Amazonは組版をやってくれないからだ。以下のようなフローの違いが生じるだろう。
・出版社フロー
1. 原稿を用意する
2. 出版社に原稿を渡す
3. 出版される
・Kindleフロー(Amazon依存になってしまうが)
1. 原稿を用意する
2. 組版をする(自力or外注)
3. プロモーション活動を行なう(自力or外注)
4. Amazonで販売開始
■まとめ
このフロー通りになるとしたら、従来の出版社が持っていた出版というパッケージは、販売、組版、プロモーション活動といった更に小さなパッケージに分割されるだろう。そのような仕組みに最も近いのはAmazonのKindleである。Amazonはパッケージ販売とプロモーション活動の2つの機能を備えているからだ。クリエイターはそういったパッケージを用いることで出版社を通した場合よりも低い割合の変動費で作品を販売することができる。