私は阪神タイガースが嫌いだ!! -3ページ目
YouTubeを見たという、
青年の出現に戸惑った私は、
意味が理解できず、
彼から詳しく話を聞きました。
真意はこうです。
確か暑い盛り、渋谷で立っていると、
街中の人にインタビューをする、
YouTubeの番組から取材を受け、
インタビューに答えたものの、
自分的には手応えが薄く、
その番組への知識が皆無だった私は、
帰宅後に調べたところ、
アップされている内容はと言えば、
やれ、抗争で撃たれたとか、
刑務所、覚せい剤、売春、借金、
ギャンブルなど、
週刊実話やアサヒ芸能あたりを、
ガチで買って読む、低能レベルが、
好んで観賞しそうな、糞チャンネル。
残念ながら、わが人生には前記ワードは、
一切含まれず、低俗週刊誌の間に、
文藝春秋を挟んでも、売れるはずがなく、
まあ、ボツであろうと、
思い込んでいたのですが、
まさかアップされていたとは・・・。
青年の感想に
礼を述べながら聞いたのですが、
正直、自分で観る気には、
到底なれないのが本音です。
そんな週末を過ごした後、
平日昼間に勉強に勤しんでいると、
電話が掛かってきました。
お仕事の依頼です。
但し、相手は韓国のテレビ局。
以前、訪問を受けた、
通訳兼コーディネーターさんから、
撮影日が決まったので、
渋谷へ来て取材させてほしい、
とのこと。
日時は明日、11月2日土曜日、午前中。
私は、午前9時から立たねばならず、
正直、キツイため、
とっぱらいで幾らかくれないか、
密かに期待しています。
<続く> バッタもん
実践経験か、勉強か、
そんなジレンマに襲われながら、
私は結局、勉強を取りました。
渋谷へ立てば、試練や経験は
確かに積めますが、正直、
訪問者がそこまで多いわけではなく、
勉強のように、計算が成り立たず、
あまりに不確定だからです。
3時間立って、訪問者ゼロなど、
日常茶飯事であるため、
私は断腸の思いで、
酷く難解な漢検準一級で、
出会ってしまった単語と格闘しつつ、
通常勉強も同時に行い、
平日は勉強。週末は渋谷という、
新しいスタイルを確立したのですが、
実際、テレビなどの取材は、
圧倒的に平日が多かったため、
大きな魚を逃しているかもという、
焦燥感も覚えていました。
そして、いつしか
土曜日を待ち侘びるようになり、
ようやくやってきた土曜日。
常連のカズさんや、怪狐さんと、
交流した帰り間際、
意外な訪問者が来たのです。
訪問者は、30歳前後の男性で、
彼は私の前に立ち、こう切り出したのです。
「あの・・・YouTube見ました・・・」
えっ、何の事?
私は意味が分からなかったのです。
<続く> バッタもん
芸を終えた私の所へ来て、
耳元で囁いた、オッサンの言葉。
「お前、売れるかもしれないな」
この言葉は、私に喜びと自信、
勇気を与えてくれると同時に、
大きなジレンマを
抱えることとなったのです。
前記したとおり、狙っていた番組、
「月曜から夜ふかし」から、取材を受け、
自分の漢字能力を知りたいという、
半ば担当Dに言わされた企画が通れば、
絶対避けられない、
漢検準一級クラスの出題。
それに対応すべく始めた猛勉強。
けれど、オッサンからいくら、
言葉を頂こうとも、本番でやらかした、
見えないミスはすべて自覚しており、
実際、渋谷でも経験済みなのですが、
芸とは、実践を積まないと磨きが掛からず、
私がやらかしたミスを克服するには、
渋谷という、今立てる唯一のステージへ、
上がり続けて経験を積むしかないのですが・・・。
勉強へ打ち込むべきか、
実践を優先すべきか、
オッサンの言葉が胸に染みただけに、
私は大きなジレンマを抱えてしまったのです。
<続く> バッタもん