心身ともに衰弱しながら、
ようやく5月の最終週を迎え、
ある日、出勤すると、
なぜかあるはずのない、
6月のシフト表が配布されていて、
そこに、私の名前があるのです。
平日の午前中、
場所は事務所で無人でした。
社長もまだ出勤していません。
私はスマホを手にして、
すぐに社長の番号へ掛けたのです。
私は、無知蒙昧な同僚とは違い、
本質、関東人である社長の性質を
採用されて即、見抜き、
礼儀正しく、折り目をつけて接し、
キレイ好きな社長を喜ばせるため、
洗車と車内整理整頓を心掛け、
結果、社長から気に入られ、
多くの恩恵を手にしてきました。
人生がどん底まで転落した人間が、
なんとか持ち直すには、
味方は多い方が、
圧倒的に有利だからです。
電話に出た社長に真意を問いました。
真意はこうです。
五月一杯で会社を畳み、
担当全コースを親会社へ返上。
全運転手(私を除く)を、
親会社へ移籍させるはずが、
親会社はなかなか了承せず、
グズグズと返答を保留。
結果、もう一か月だけ事業を延長。
その旨が伝えられたのが、数日前。
私には伝えられていなかったのです。
<続く> バッタもん