退職の日のカウントダウンは
刻々と迫ってきます。
この事実が精神を救ってくれそうに
思うでしょうが、現実は違っていたのです。
地獄のようなストレスから、
苛まれました。
正直、やりきれない、
これ以上、この汚臭を、
一刻も嗅ぎたくないのです。
私が現在の職に辿り着いた時、
どん底まで転落しており、
なによりも、
人生の立て直しを急務と
しておりました。
通勤が自転車で15分、
得意のトラック運転、
拘束時間が短く、
執筆時間が確保しやすかったため、
選んだに過ぎません。
そのため、当初はストレスを感じても、
どうすることもできず、
何より、世に打って出る術が、
左右どちらの腕にも、
握られていませんでした。
勤務初日から、
ドブ脱出チケット争奪レースが
始まりました。
最初の再起を懸けて挑んだ、
久々の長編小説でズッコケ、
長年、構想を描いていた、
人生最高傑作に5年間を投じましたが、
やはりパスポートは入手できませんでした。
そこで、筆を折ることを決意。
もう、世に打って出る術はありません。
万策尽きたと思っていた私の手に
残っていたラストカードこそ、
おそらく人類史上最弱カード、
「漢字」だったのですが、
この時点ではまだ、習い事レベル。
到底、知の大巨人へ
立ち向かえるほどの実力などなく、
そこから気の遠くなる勉強を
始めたのです。
そしてジャンル別に仕上がっていく度、
ストレスの質が変化し始めたのです。
<続く> バッタもん