平日の昼間、酷暑・大阪

 商店街で突然始まった、

 

 漢字クイズは、意外にも

 大いに盛り上がりました。

 

 女性ADさんが検索したサイトから、

 男性ディレクターがチョイスして、

 出題。

 

 次は、チューリップ

 鬱金香 

 

 このレベルで躓くなんて、

 あり得ません、まだまだ初歩

 

 この日のために、

 一体、どれほど

 勉強したことでしょう。

 

 仕事のミスを咎められ、

 親会社へ出頭し、

 

 知性ゼロの管理職を揶揄うため

 手書きで難読漢字を多用して、

 

 サル共に内容の理解できない、

 始末書提出する

 ためではありません。

 

 

 さらに、オリーブ

 阿利襪

 

 

 出荷場所での待機中、

 冷笑夏の日差し

 浴びながら。

 

 滝のようなを流しながら。

 隣の騒音と戦いながら。

 

 いつもには、

 パイロット・HI-TEC-C、

 0,25・黒。一本、200円。

 腕の痺れは、今も続いています。

 

 怠惰低俗の巣窟から、

 抜け出すために。

 

 自分の存在には価値があると

 証明するために。

 

 すべては、この瞬間のために。

 地上へと続く、この糸を登るために。

 

 

 そこから外国名が続き、

 カマイタチ。

 鎌鼬

 

 かささぎ(鳥)

 ラベンダー薫衣草

 などなど。

 

 蜘蛛の糸は、まだまだ遥か

 上部まで伸びているのですから。

 

 こんなところで、

 間違えられないのです。

 何があろうと絶対に。

 

 結局、は出題すべてで

 パーフェクト回答達成できました

 

 正直、出題者が幼稚

 本当に助かりました。

 

 面白かったのは、途中から、

 男性ディレクター

 を間違えさせようと必死になり、

 

 逆に、女性ADさんは、をむしろ、

 応援してくれて、

 

 正解する度

 大喜びしてくれたことでした。

 

 どうやら撮れ高を稼げたらしく、

 は、映像使用に関して

 文句は言いません承諾書へサイン

 

 二人のテレビマンは、

 掘り出し物を見つけた興奮を

 隠そうともしませんでした。

 

 そう、彼らテレビマン本能とは、

 いつだって同じ。

 

 プロ野球のスカウト同様、

 “私だけが知っている”

 求めているのですから。

 

 さて、大阪の商店街を歩いていた、

 お世辞にも上品とは言えないオッサンが、

 突然、

 

 “林修先生と漢字勝負して勝てる!!”

 と大見栄を切り、

 

 実際に難解な漢字

 パーフェクトに書いて見せる、

 

 そういう内容の映像を、

 権限のある立場の人達客観視し

 

 番組内で使用するかどうかは、

 実際のところ、全く不明であります。

 

 けれど、人生がここまで

 追い詰められてしまうと、

 

 後は、自身が持つ、

 星回りが強いかどうか

 問題だろうと、ある種の達観へと達し、

 

 実際、私が掴んだモノが、

 本物の蜘蛛の糸なのか、

 ただ溺れる者の掴んだワラなのか、

 

 判断には、もうしばらく

 時間が掛かりそうです。

 

 けれど私は実際、

 カメラの前漢字を書きながら、

 

 もう何十年も感じていない、

 爽快感を覚え、

 

 翌日以降、

 リフレッシュした状態で、

 

 漢字の勉強

 打ち込めていることだけは事実です。

 

 番組の放送予定は、10月。

 

 おかげで夏を越すための気力だけは、

 どうやら手に入れられました。

 

 さて、現実という名の壁は、

 一ミリでも動いたのでしょうか?

 

 僅かに生まれた隙間から、

 少しでも風を感じられたなら、

 

 もう少しだけ、

 生きながらえることが出来そうです。

 

 <終わり>         バッタもん