漢字の書き取り勝負なら、

 林修先生を倒せる。

 

 平日の昼間、大阪の商店街を、

 暇そうに歩いている,

 

   砕けた格好の柄が悪い

 オッサン風情の吐く戯言

 

 こんな暴言を一体、

 誰が鵜呑みにするでしょう?

 誰が信じるでしょうか?

 

 小型ハンディカメラを回す、

 男性ディレクターも、

 

 傍らに立つ、女性ADさんも当然、

 信じるはずがありません。

 

 ええ、当然でしょう、

 当たり前です。

 

 仕方ありません。

 ならば証明してみせるまで

 へそっと力を入れたは、

 

 目の前へ舞い降りた蜘蛛の糸を掴み、

 ゆっくりと登り始めたのです。

 

 ひょっとしたら、

 地上へ出られるしれない、

 蜘蛛の糸

 

 いや、辿り着けなかったところで、

 失うものは何もありませんから、

 

 このクソ現実を変えられるなら、

 悪臭しか放たない、

 ドブから脱出できるなら、

 

 何だってする、やってやる。

 

 は、そっと自前の手帳とペンを取り出し、

 白紙ページを開き、大見得を切ったのです。

 

 「どんな難解な漢字でも書いてみます。

    どうぞ出題してください!!」

 

 無論、この申し出は漠然としていて、

 出題する側が困惑することを承知しており、

 

 またテレビ的に、わかりやすい

 難しい出題でなければならないため、

 

 こちらから具体的

 提案を試みました。

 

 「花でも樹木でも鳥でも魚、果実や野菜、

  動物、虫など固有名詞で行きましょう、

  さあ、どうぞ!!」

 

 正直、現在は四字熟語へばかりに

 特化していて、

 

 固有名詞は後回し状態なのですが、

 そんなことは言ってられません。

 

 もう、賽は投げられたのです。

 

 男性ディレクターは、困惑しつつも、

 出題してくれました。

 最初はなんと、バラ

 

 正直、吹き出してしまいました。

 あまりに初歩的過ぎたからです。

 

 は、男性ディレクターに、

 やっと九九を覚えた小学二年生が、

 問題を出せと強請んでいるのに、

 

 まさか2の段が出るとは思わず、

 笑ってしまったのだと説明し、

 

 笑ったまま

 仕方なく手帳へ書きました。

 

 薔薇

 

 この時、私は初めて知ったのです。

 

 人前で漢字を書く怖さ、そして、

 カメラが与える緊張感を・・・・。

 

 上手く書けないのです。

 

 無論、がもともと

 上手いわけではありません。

 

 スタジオのフリップなら、

 上手く書けるのか、

 正直、自信がありません。

 

 傍らでは女性ADさんが、

 スマホを操作し、

 答え合わせを行っています。

 

 勿論、正解。

 

 まあ、いろは字の磯自慢ですから、

 書けて当然です。

 

 感心する二人。

 女性ADさんスマホを駆使し、

 

 次々と難解漢字検索し、

 出題してくれました。

 

 <続く>         バッタもん