昼間はたくさんの人が行き交って、
夜になると、
ようやく妻と2人の時間。
今の妻は、
起きてる時間はごく僅かで、
夜中目を覚ますと、
身体のポジションが気になるみたいで、
僕に怒ります。
何度もポジションを変えようとするけれど、
持ち上げようとすると腫れが痛むし、
自分では踏ん張れないから、
すぐに元に戻っちゃう。
これが最近は、
深夜の2時に繰り広げられる。
こんなことすら妻との大切な思い出。
妻は付き合ってる頃から、
僕のことを「旦那さん」と呼ぶ。
だから、自分も「嫁さん」と呼ぶ。
それは結婚してからも変わらない。
去年、2人でコロナに掛かった時、
ニュースで、
旦那さんが毎日家にいることで、
コロナ離婚になることがあるってやってて。
うちの妻はと言うと、
「私ね、コロナの2週間はとっても幸せだった。
だって、朝起きたら、毎日旦那さんがいるんだもん。
毎日が夏休みみたいで、朝起きて一緒にご飯食べて、好きなテレビを見て、本当に幸せな2週間だった。
またコロナに掛かってもいいって思うくらい」
と言ってくれる。
こんなに素敵な妻。
不謹慎だけど。
僕もあの2週間はとっても幸せだったよ。
最近は、
ごめんね。
みんなで身体を動かす度に、
痛いと泣かせてる。
記憶が飛び飛びだから、
「旦那さん、私、頭がおかしくなっちゃったの…」
って、急に泣いちゃったりする。
でも、またすぐ伝える間もなく、
眠りに落ちてしまって…。
おかしい訳ないよ。
おかしいのは、
何にも悪くない君が、
これだけ苦しむ世界の方だよ。
君は何にも悪くない。
悪いはずがない。
今日は、
妻の以前の職場の子が遊びに来てくれた。
そうしたら、
こんな言葉を掛けてくれた。
「旦那さんのこと、奥さんは毎日話してましたよ。私にこんな素敵な旦那さんは勿体ない。何気ない日々が本当に幸せ」
「奥さんは職場ではアイドルでした。みんな奥さんのことが大好きでした。
いろんな経験をされているから、包容力があって。でも、とにかく現実的で、夢を見たりしない。だから、いろんな言葉もくれて。
だから、私も大好きです」
って。
その言葉で、少し心が救われた。
妻のことをよく知っている人がいる。
妻の話が出来たこと。
妻の気持ちが聞けたこと。
それだけで救われる。
妻がいなくなると思うことは恐い。
でも、
やがて妻を通した繋がりが全て消えていって、
妻の話ができなくなることも、
同じくらい恐いんだよ。
今日も眠り姫は目を閉じていて、
聞こえてるか分からないけれど、
大好きだよ、と伝えてみる。
何にも大事な話が出来ていないけど、
伝えることで、
自分の後悔が、
ほんの少しだけ救われていることに気付いた。
話が出来てないなんて、
そんなこと言ったら、
明後日に来てくださる、
お義父さんだって同じだよね…、
悔しいよ、きっと。
生きる為に、
大切な数値が落ちてきてる。
そう、ドクターから伝えられてる。
明日は、午前中だけ出社して、
介護休業の手続きを。
あの時の2週間の続きだよ。
夏休みだけなんて言わずに、
冬休みまで突入するんだから。
一緒に、
2人の宝物を増やそうね、
大切で大好きな嫁さん。