世界は言葉でできているのか、
そんなことは知らないけれど、
日々を暮らしていると、
気になる言葉というのが
いくつかあるもの。

電車で携帯イジリも一段落つくと、
車内本来の過ごし方=聞き耳モードにシフトする。

すぐ隣に、妙齢JOSHI3人の一団がいた。

そのうちのひとり(A)が、語る。

A「やっぱり一番好きな映画は●●かなー。」
B「なんで?」
C「決してハッピーエンドじゃないけど?」
A「それがいいのよ、ちょっとあいまいな感じとか」
C「深いね

B「このまえの女子会どうだった?」
C「なんか、ひとりの人が浮いちゃっててね」
A「でも、敢えて浮いてたのかもしれないよ?」
B「深い




…深い?

なんだ、深い。

この、全然核心には迫らない感じ。
これは、
「真向に否定するわけではないけど、
 実際はよくわからないから、
 あんまり納得いかないのよね」
という意向が垣間見える。

むしろ、「不快」であることを暗に仄めかしているなら、
相当の高等戦術だけど、そんなことはあるまい。

関係性を勘ぐるならば、
「一緒に旅行行ったり、ライヴではねたりするほどは
 仲がいいわけではないけれど、
 ご飯食べたりセールに行ったりはする、
 適度な関係性を保ち続けている」
という社会的な付き合いのグループ。
食事の帰りで、家の方向が同じなのだろう。

だから、深層には迫らない。メンドクサそうだから。
理由聞くと、長くなりそうだから。
「深い」といいながら、その実は「浅い」のだ。

同じような言葉には、
「うーん、シュール」
というのがあるだろう。
納得はしてないけど、異端であるという指摘はしておきたい。
そんな言葉。

私なら、こう言うかな、

言葉の意味はよくわからないが、
 とにかくすごい自信だ


サンキュー、ゆでたまご先生。

途中の駅で乗り換えたので、
その一団は散りぢりになった。
実際の付き合いのほどについての真相は、
深い闇の中に消えていった。

そして、それに興味は無いけれど。