(4年前のnote記事)

英国在住のライター、ブレイディみかこが『ブロークン・ブリテンに聞け』のなかで、フードバンクを題材にした絵本を取り上げ、

「むかしは、フードバンクはホームレスや無職でお金を使い果たした人々が利用する場所だった。それが、現代では絵本に出てくる母親のように、多くのワーキングプアが利用する場所になった。働いても三度の食事が満足に食べられない社会。それを「まとも」なこととして受け入れ、ほのぼの絵本にして子どもたちにまで教えてしまったら、「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれたことのある国はもう後戻りのできないところまで後退してしまう。」

このように嘆いていた。ケン・ローチ監督の『私はダニエル・ブレイク』(体を悪くして働けなくなった高齢の失業者と貧困で売春に追い込まれるシングルマザーが出てくる)が日本で公開されたとき、映画関係者らが「ダニエル・ブレイク基金」を立ち上げ、映画収入の一部が寄付された。ケン・ローチ監督からは、

「ともかくチャリティーは一時的であるべき。ともすると、チャリティーというものは不公正を隠してしまいがちだが、むしろ不公正の是正こそが最終目的であることを忘れてはならない。」

という声明が発表された。

フードバンクや慈善事業は、貧困者を一時的に助けるための緊急措置として存在すべきなのであり、自分が映画を撮り続ける目的は、人助けを推奨するためではなく、貧困を生み出す政治や制度そのものを変えることなのだと強調した。(ブレイディみかこ代弁)

今、日本ではこども食堂が急速に広がっている。コロナで活動が制限されてはいるが、短期間で急増したことは確かである。ファミリーマートなど大手企業までが参入している。

現に目の前に困っている人がいるのだから、こども食堂はありがたい。誰でも利用できるため、貧困家庭の子だけじゃなく、老若男女誰でもいっしょくたになっていて、そこがすごくいいと思う。

でもやはり思う。

ファミマのそういった取り組みに対しては賛否両論ある。私はやるのは別にいいが、コンビニはフランチャイズの在り方に非常に大きな問題を抱えている、本家のアメリカまでが日本のやり方を真似して、アメリカの個人事業主たちが苦しめられている、こういった構造をチャリティーが覆い隠してしまうのではないかと危惧する。ただでさえ、日本人は環境活動とかチャリティーに弱い。バランスシートに照らして判断することができないという弱点を持っている。ユニクロが衣料のリサイクルをしているってだけで、買うことの罪悪感が薄らぎ、リユースボックス(リサイクルよりも罪悪感はなお薄れる)に投げ込み、いそいそと新しい衣服を買ってしまう。ペットボトルをリサイクルしてるってだけで(たいしてされていないが)購入の罪悪感がなくなり、ばかすか買って汚いままリサイクルボックスに投げ込む。

私がよく手伝いに行くこども食堂にはいつも市議会議員がいて、ブレイディみかこ風にいうところの左派である。現政権反対、打倒安部・菅、打倒自公の人たちである。こども食堂を支援している。素晴らしいと思う。しかしやはり思う。若い人ほど現政権を支持してるっていう現実に対し政治家としてどう考えているんだろう、って。クソみたいな現政権をなんで若い人たちが年寄り以上によしとしてるのか。ブレイディみかこの言い草を借りれば、これ以上悪くなってほしくないからにほかならない。反対反対、それしか言わない。いつもお仲間どうしでこぜりあって、党の名前さえ変わってばっかりで覚えられない、まだやってんのかと言われるような存在の党にへばりついている。若い人たちは今のクソ政権でもマシと思ってる。

ケン・ローチ監督じゃないが、生保はセイフティーとしてありがたいが、働いて生活できることが多くの人の望みだと思う。病気になったら社会保障を受ける。元気になったらまた仕事をする。生保は簡単に始めたい。そして簡単に終わりたい。始めるのが至難で、終わるのはもっと至難。これ自民党のせいか?自民党の支持者のせいか?公明党や創価学会のせいか?こども食堂にいそいそ通い、支援してくれるのはいい。でも政治家にしかできないことがあるから政治家をしてるんじゃないのか?弁護士でも医師でも学校の先生でもやれることはある。それでも政治家になったのは、政治家にしかできないことがあるからだろ?

通販生活のシングルマザーの手記に載ってた人、勤続8年のフルタイム正社員で、手取り給料約10万円。これでも最低賃金になってる。これ、こども食堂でずっと助ける?チャリティーで援助する?