自治体が運営する漫画図書館なるものに行ってみました。

懐かしい漫画もあれば、アニメやドラマになっているもの、はじめてお目にかかるものなど、漫画喫茶以上の規模でした。

読んでいたらきりがないので(娘を試験勉強の息抜きに連れてきていた)眺めるだけと思っていたのだが、「天智と天武 


」という、大化の改新をテーマにした、キレイなかんじの漫画があったので1冊だけ読んでみた。

歴史漫画なのだが、いきなり通説と異なる展開でビックリした(笑)

しかも、なんかBLっぽい…

大化の改新は、天皇を蔑ろにして自分の勢力を強めようとした蘇我入鹿(そがのいるか)を、中大兄皇子(なかのおおえのみこ)と、その臣下である中臣鎌足(なかとみのかまたり)が成敗し、天皇中心の国家を志した…というのが、教科書に書いてあることである。

ところが…

この漫画では、蘇我入鹿は本当は天皇中心の改革をすすめたかったのに、中大兄皇子と中臣鎌足に嵌められて暗殺されたことになっており、しかも、中臣鎌足は実は新羅の皇子であった…となっているではないか。

漫画だし、まあいいか。創作もいいではないか、面白い!と思い直した。

ただ、こういう創作のアイデアはどうやって得るのだろうと興味がでた。

偶然だが、家の書棚の整理をしていたら、歴史作家関裕二の「大化の改新の謎 闇に葬られた衝撃の真相」というものがみつかった。

さっそく読んでみたら、これだった。

関裕二の見解は、大化の改新は実は改革を妨害するために改革派の要人(蘇我入鹿やその父の蝦夷)を暗殺はしたが、改革を止めることはできなかったというものである。

そして、中臣鎌足は実は百済の王であったという。中臣は確かに天皇の祭司を古くから担当する家ではあるが、中臣鎌足はそこにうまく入り込んだのだと。

百済滅亡後は日本で生きていくしかなく、一族存命のため、天皇を利用しつくしたということである。

関裕二は学者ではないため、根拠をきちんと挙げておらず、~に違いないとか、~しかないといった決めつけで書いているのが難点である。

中大兄皇子の百済への支援や、中臣鎌足の息子の藤原不比等が日本書紀編さんに大きな影響を与えており、というか、後の藤原氏に都合のいいことしか書いてない不自然すぎる日本書紀への疑いを基にしている。

藤原氏の勃興は確かに前々から疑問というか、謎であった。

表の通説が正しいとはいえないのは、確かにそのとおりであるが、通説は通説として力を持っている。

中大兄皇子と中臣鎌足は正義の側というイメージは大きい。里中満智子もこのテーマで漫画を描いているが、批判が多かったという。天上の虹だったか?たしかに、中大兄皇子は教科書のようないい人ではなかったな…

中村真理子の「天智と天武」はBLで済まされているが、こういう通説とは異なる見解の歴史物は別の視点を与えてくれるのがいい。