昨日から続く不機嫌で、自分自身を持て余している。自分でさえこうなのだから、周りの人間は気の毒である。せっかくのお休みを暗くびくびくして過ごした夫と娘に対し、申し訳ない気持ちだが、月曜の朝に反省していたのでは遅すぎる。

不機嫌の原因はよくわからない。梅雨の不快さだろうと適当に推測する。仕事の失敗はいつもなのだから、不機嫌の理由にはならない。

自分自身に嫌気がさしきったところで、本棚のポケット詩集を思い出した。茨木のり子の詩にこんなのがあった。

 

自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

 
こなのもあった。
 

一人は賑やか

一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな森だよ
夢がぱちぱち はぜてくる
よからぬ思いも 湧いてくる
エーデルワイスも 毒の茸も

一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな海だよ
水平線もかたむいて
荒れに荒れっちまう夜もある
なぎの日生まれる馬鹿貝もある

一人でいるのは賑やかだ
誓って負け惜しみなんかじゃない
一人でいるとき淋しいやつが
二人寄ったら なお淋しい

おおぜい寄ったなら
だ だ だ だ だっと 堕落だな

恋人よ
まだどこにいるのかもわからない 君
一人でいるとき 一番賑やかなヤツで
あってくれ

 
 
体裁を気にする人は、誰かといっしょにいるが、とても寂しそうだ。さびしそうなカップル(夫婦、友だち、同僚…)たちが多い。
 
 
なんでもかんでも人のせいにするのは、ラクなはずなんだけど、しんどい。苦しい。
さびしいから誰かといっしょにいるのに、なぜか一人よりもなおのことさびしい。
 
詩人は偉い、よくわかってるな。
 
 
 


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