花火大会、夏祭り、盆踊りなどで、浴衣を着る機会が増えるシーズンです。
浴衣といえば、足元は下駄ですね。
カラコロという涼やかな音を立てて歩く姿は夏の風物詩といえるでしょう。
徳島県の西方、東みよし町加茂にある斉藤桐材工業では、浴衣に欠かせない「きりげた」の製作が最盛期を迎えています。
徳島は県内の3分の2が山林で、かつては林業の盛んな県でした。
ところが、木材価格の低迷や林業従事者の高齢化などにより、林業は急速に衰退してしまいました。
木材資源の豊富な土地柄により、40年ほど前までは徳島県は下駄の産地でもありました。
たくさんの下駄メーカーがあり、全国的にも有数の出荷量を誇っていました。
ところが時代の流れによって、これらのメーカーは靴とかヘップのメーカーに転身したり廃業をして、現在下駄のメーカーは徳島では唯一斉藤桐材工業のみとなってしまいました。
一口に下駄といっても、いろんな種類がありますが、この会社は桐下駄のみを作り続けてがんばっています。
桐下駄作りには機械化ができない工程がたくさんあり、ほとんど手作業で作られています。
たとえば、1本の木から下駄を作るわけですが、木目などを読んでどの部分をとればきれいでよい下駄ができるだろうかとか、長年の経験と勘が必要となってきます。
こうして吟味した上で、桐材を切断したり貼り付けたり磨いたりしながら、終日汗を流しています。
1日に150足前後のペースで完成させ、主に関東や関西地方に出荷されています。
桐下駄は軽くて吸水性に富んでいるので、素足で履くと汗を吸い感触はとても爽やかです。
斉藤桐材工業は2万~3万円の高級品とか表面に寄せ木を用いた新商品の引き合いも上々とのこと。
斉藤雄二社長(63)によると、高齢化により全国的に桐下駄工場が減っているため、今年の出荷量は昨年より10%程度増えているそうです。
作業のピークは7月末までで、しばらくはあわただしい毎日が続きそうです。