服を作るには型紙が必要なように、靴を作るにはラスト(木型、金型とか靴型とも言います)がなければ作ることができません。
靴を作るにあたり、まずラストを入念に仕上げてから靴を作り始めます。
だから、ラストの出来不出来で靴の価値が決まるようなものです。
先端の丸い靴、尖った靴、幅の広い靴、ヒールの高さなどによって、それぞれのラストを準備します。
日本人は足幅の広い人が多いので、外国製に比べて幅の広いラストが多くなっています。
ラストの寸法や形は、足の形とは少し違ったものとなっています。
足と同じラストにすると、靴は履けません。
爪先部分には足より約1センチほどの余裕をもたせてあります。
また逆に靴幅は歩く際に足が靴の中で動かなくするために、周径で1センチ程度狭く作ってあります。
その他、履く用途に応じてカカトの高さとか、トウの跳ね上がりなどを考慮して、歩きやすい機能がたくさん盛り込まれています。
このラストにアッパーの生地をかぶせ、底を張り合わせたり縫ったりして靴に仕上げていきます。
ラストは靴メーカーが独自のノウハウで作り上げたものですから、大事な大事な宝物的存在です。