ウェッジヒールとは、前端に比べてかかとの部分が高く、土ふまずの部分が平らな、くさび型のヒールのことをいいます。
今では女性用のパンプスやサンダルに応用され、一般的なデザインとなっていますが、発売当時は度肝を抜く斬新なデザインだったとおもいます。
このデザインを発案したのはサルヴァトーレ フェラガモで、彼は31歳の時にイタリアのフィレンツェに店をオープンしました。
しかし、職人である彼は経営に失敗し、一時は倒産の憂き目にあっています。
ところが、彼の靴職人の腕前は超一流だったため、「また、あなたのために仕事をしたい。」とフェラガモの店で働いていたクツ職人たちが集まり、再建をはたすことができました。
会社が軌道に乗り始めた矢先、第二次世界大戦が始まります。
戦争が始まると、物資が不足し、「かかと」を安定させるための鋼(はがね)が入手困難になりました。
そこで、鋼を使わなくても女性らしいかわいい靴はできないものかと考え、コルクを使用したウェッジソールを発案しました。
このウェッジソールが人気を集め、フェラガモは順調に借金返済を行うことができたそうです。
このウエッジソールを含めて、フェラガモがその生涯で取得した特許は350にも上ります。
こうして、災難をバネに新境地を開こうとするフェラガモの執念さえ感じさせられる逸話です。
フェラガモはファッション業界のオスカーともいわれる「ニーマン マーカス賞」も受賞しました。
サルヴァトーレ フェラガモは、まさにクツ作りの天才でした。