利益確定売り エルピーダ破たんが過熱相場に冷や水
 東京市場は売り優勢となりそうだ。短期的な相場の過熱感に加え、円安進展の流れが一服、エルピーダ破たんの影響が懸念され、利益確定売り機運が強まりそうだ。日経平均は9500円程度までの下落も考えられよう。日経平均の予想レンジは9450~9600円。

 高値警戒感は日増しに強まっており、日経平均の25移動平均乖離率は+5.8%に達し、相場の過熱感を示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)も135%で「買われ過ぎ」とされる120%を大幅に超過している。中長期的な戻り相場は続くとみられるが、足元のスピード違反的な上昇の反動は出ても仕方がないのかもしれない。為替相場では先週末に円安が進展し対ドルで9カ月ぶりの安値をつけたが、週明けにその流れがやや一服。きっかけとなったのは、貿易統計の黒字転換とみられる。財務省が27日発表した2月上旬の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は76億3600万円の黒字(前年同期は1037億2600万円の赤字)に転換。月の上旬としては昨年10月以来、4カ月ぶりの黒字となった。輸出は前年同期比5.6%減の1兆8621億3200万円。輸入は同10.6%減の1兆8544億9600万円だった。原発停止で火力発電用の液化天然ガスの調達は膨らんだが、衣類や音響・映像機器、非鉄金属などの減少が寄与した。日銀による追加金融緩和以降に円安基調が続いていたが、貿易統計の赤字も一因だったとみられるだけに、貿易統計の改善でその流れがいったん止まる可能性はある。また、大引け後に半導体メモリーのDRAM世界3位で経営再建中のエルピーダメモリが、会社更生法の適用を申請。DRAM市況の悪化により、今12.3期に1000億円超の最終赤字になる見通しで、米半導体大手のマイクロン・テクノロジーや台湾企業との資本・業務提携を模索していたが交渉は難航。4月以降の借入金返済に充てる資金調達のメドが立たず、自主再建を断念したという。厳しい経緯状態であることは周知されていたとはいえ、3月末の臨時株主総会で優先株の買い戻しのために資本金1500億円を取り崩す議案や、マイクロンなどとの資本提携をにらんで株式の授権枠を2倍に増やす議案を付議することを決定したばかりだったことを勘案すると意外感は強そう。エルピーダの経営破たんが直接与える影響は限定的かもしれないが、過熱感が高まっていた相場に利益確定売りを促すきっかけにはなりそうだ。

 27日のNY株式相場はまちまち。G20会合でIMFの資金基盤の強化が見送られたことなどが嫌気されるも、下値では買いが入り下げ渋った。ダウ平均は前日比1.44ドル安の12981.51ドルで終了した。メキシコで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、欧州債務危機の収束にはいっそうの資金が必要と示されたにも関わらず、ユーロ圏の金融安全網の拡充を前提としたIMFの資金基盤の強化が見送られた。これを受け、リスク回避の動きが強まり、ダウ平均は売りが先行。一時100.36ドル安の12882.59ドルまで下落した。一時は先週末の終値を上回る水準まで回復したものの、13000ドル台では売り方の圧力が強く、小幅下落して終了した。NASDAQは前日比2.41ポイント高の2966.16ポイント、S&P500は同1.85ポイント高の1367.59ポイントで終了した。個別では、マイクロンテクノロジーが7.7%上昇。競合のエルピーダメモリーが会社更生法を申請したことにより、同社のシェアが拡大するとの見方が高まった。一方、GSがコンビクション・バイへ投資判断を引き上げたディズニーは0.8%高となった。

 前日の日経平均は一時9700円台を回復する場面もあったが、上値は重く徐々に上げ幅を縮小。大引けにかけて下げに転じ、安値圏で取引を終えた。為替相場の円安が一服したことで、利益確定売りが優勢となった。東証1部の騰落状況は上昇793/下落730と値上がり銘柄数が若干多く、規模別株価指数は小型のみ下落。国際優良株などが買われた一方、資源関連などが利益確定売りに押された。

 日経平均株価は9633.93円 -13.45と4日ぶりの反落。高寄り陰線ほぼ安値引けとなったが、5日線(9578円)上を維持しており上昇継続との見方が優先となろう。RSI(9日)は前日93.9%→91.7%に低下。日足均衡表の転換線は9421円→9475円に上昇が続く見込み。陰線が続かず、早々に陽線で切り返せるかが注目される局面だ。短期的な上値メドは月足均衡表上の節目9900円となる。一方、マドを伴わない「三陽連の高値引け」から、終値ベースでは高値更新が続かなかった。2009年3月安値~2010年8月安値までの日柄(363日)の対等日(2/23)前後からの折り返しの可能性も。そのケースでは9300円処のマド埋めや、25日線(9103円)などが最初の主要な下値メドとなる。月足均衡表上の基準線(9771円)近くまで上昇したこともあり、十分に警戒したい。昨年2月高値を起点とした上値抵抗線(9300円処)を明確に超えてきており、3月に向けては、遅行線が当時の転換線と接する水準(9904円)まで伸びる可能性がある。一方、2月の遅行線の位置は2010年1月に応答しており、一時的に高値を形成した局面だ。足元の勢いからも2月は同様に高値を形成しやすいと予測できる。抵抗帯(雲)下限水準の切り上がりが、直近では2月が最も高くなることも高値形成をイメージしやすい。変化日候補は2月29日となる。

今日の株価材料

日経産業
・清水建<1803.T>が紙ゴミ燃料の自家発電装置を開発
・NSW<9739.T>がデータセンターの運用コストを半減
・モリテックス<7714.T>が超小型画像処理機を開発
・愛三工業<7283.T>がインドにエンジン部品工場
・日東電工<6988.T>が耐熱500度の粘着剤を実用化へ

日刊工業
・IHI<7013.T>が新素材使った航空エンジン部品で燃費改善
・デンソー<6902.T>が3大要素技術を早期実用化
・富士フイルム<4901.T>がUVの吸収制御する技術
・住友商事<8053.T>がルーマニアで農業支援
上値重い 2月決算銘柄に権利取りの動きみられるか
 東京市場は買い優勢となりそうだ。欧米株式相場の上昇を受けて、買い先行の展開が予想される。ただ、短期的な過熱感が高まっているうえ、週末要因で利益か確定売りが出やすいとみられ、上値も重そう。きょうは2月決算銘柄の権利付き最終日のため、配当・優待狙いの買いが入るか注目されよう。日経平均の予想レンジは9500~9650円。

 東証2部指数が1.4%高で28営業日続伸し、ジャスダック平均は震災後の高値を更新するなど、新興市場の上昇も顕著。やや息切れ感のみられる主力株から中小型株へのシフトで、買いの回転が効いている状況となっているようだ。短期的な過熱感は日増しに強まっており、いつ調整に転じても不思議ではないが、「押し目待ちに押し目なし」の状態がしばらく続くのかもしれない。東証が23日発表した2月第3週(13~17日)の投資部門別株式売買動向によると、外国人投資家は8週連続で買い越し。買越額は前週比2.3倍の2406億円となり、昨年7月第1週(2898億円)以来、約7カ月半ぶりの高水準を記録しており、外国人投資家主導の株高だったことが確認された。とはいえ、過度な楽観論は禁物だろう。22日に発表された2月ユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)、1月米中古住宅販売件数が市場予想を下回る着地になったほか、イタリア紙による、と欧州委員会が2012年ユーロ圏のGDP伸び率予想を-0.3%(昨秋時点は+0.5%)に下方修正する見通しと報じた。イタリアは-1.3%(従来は+0.1%)、スペインは-1.0%(同+0.7%)、ドイツは+0.8%(同+0.6%)、フランスは+0.4%(同+0.6%)に引き下げられる見込みだという。足元の株高は欧州不安の後退に加え、世界的な景況感の改善を背景としているだけに、このような指標が相次ぐ形となれば利益確定売りを誘発しかねない。

 23日のNY株式相場は反発。P&Gのコスト削減計画を好感したほか、IBMにテクニカル的な買いが入り、指数をけん引した。ダウ平均は前日比46.02ドル高の12984.69ドルで終了した。ダウ平均は売りが先行し、一時56ドル安の12882.67ドルまで下落するも、新規失業保険申請件数の予想より強い結果が下支えした。また、P&Gが今後4年で100億ドルのコスト削減計画を発表すると、事業再構築への期待で同社株に買いが入ったほか、軟調な決算を発表したHPが売られる一方、IBMに買いが入るなど、テクニカル的なトレードもみられた。P&GとIBMが指数をけん引し、一時57.41ドル高の12996.08ドルまで上昇した。 NASDAQは前日比23.81ポイント高の2956.98ポイント、S&P500は同5.80ポイント高の1363.46ポイントで終了した。個別では、100億ドルのコスト削減計画を発表したP&Gは3.1%高。年次株主総会で配当開始に含みを持たせたアップルは堅調に推移した。

 前日の日経平均は前日終値圏でのもみ合いを続けていたが、大引けにかけて上げ幅を拡大。一時9600円台を回復する場面もみられた。東証1部の値上がり銘柄数は1073(全体の64.1%)に達し、規模別株価指数はすべて上昇。証券株が商いを伴って上昇したほか、中小型株が堅調に推移。その一方で、増資発表のマツダは急落した。

 日経平均株価は9595.57円 +41.57と続伸。連日の高値更新となり、昨年8月5日に形成したマド埋め(9615円)を意識した展開となった。25日線(8995円)からのかい離率はプラス6.2%で横ばい。RSI(9日)は前日86.7%→93.9%に上昇し、直近で最も上昇した1月27日の水準を上回った。日足均衡表上では抵抗帯(雲)のネジレのタイミングでもあり「反転」には注意だが、先高期待は依然として強く、上昇を「加速」させる可能性も高い。 反転のケースでは、200日線(9041円)上で短期線(25日線)の接近を待ちながらも、値固めができるかが焦点。加速するケースでは、下記の月足均衡表上の節目9770円や9900円まで上値余地が広がることになろう。週足均衡表では抵抗帯を上回り、1万円奪回も視野に入る勢いだ。2月は4営業日を残すだけ。月足均衡表では終値ベースで、転換線(9171円)処まで押し戻される展開は有りえる。ただ、昨年2月高値を起点とした上値抵抗線(9300円処)を明確に超えてきており、3月に向けて基準線(9771円)や遅行線が当時の転換線と接する水準(9904円)まで伸びる可能性はあろう。一方、2月の遅行線の位置は2010年1月に応答しており、一時的に高値を形成した局面だ。足元の勢いからも2月は同様に高値を形成しやすいと予測できる。抵抗帯(雲)下限水準の切り上がりが、2月でいったん頭打ちとなることも高値形成をイメージしやすい。残り4営業日で9900円まで上昇し、頭打ちとなるシナリオが現実的である。

強いトレンドのなかでショートが積み上がる好需給が続く/株式オープニングコメント・強弱材料・支持抵抗
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株式オープニングコメント
*08:20JST 強いトレンドのなかでショートが積み上がる好需給が続く
 米国市場の上昇を追い風に、本日の日本株市場は堅調な相場展開が期待される。米
国では週間新規失業保険申請数や12月住宅価格指数が予想を上回ったことが好感され
ていた。また、米保険大手のAIGが予想を上回る決算が好感されて時間外で上昇して
いることも材料視されよう。一方、欧州市場は高安まちまちであり、ユーロ圏の2012
年の成長率見通しが下方修正されたことが嫌気されていた。そのほか、ギリシャ議会
は23日、債務交換法案を可決した。
 日経平均は9600円処での膠着を想定。週末要因から手掛けづらくなるなか、利益確
定の売りが出やすいところであろう。とはいえ、これまでの海外要因に振らされる相
場展開から、日本独自の材料によってリバウンド基調が強まっている状況である。大
きな要因は金融緩和策と為替の超円高の修正であろう。また、根強い欧州不安によっ
て慎重姿勢が崩せない結果、楽観的なスタンスを取りづらい。そのため、ポジション
はロングに傾きづらく、強いトレンドのなかでショートが積み上がる好需給が続いて
いる。
 市場のマインドが楽観的になるまでは、強いトレンドが継続するとみられる。利益
確定の流れが先行したとしても、短期的な一服を狙った割り切りスタンスでのショー
トとし、過熱感によるショートポジションの積み上げは避けたいところ。
 なお、23日のNY市場でダウ平均は46.02ドル高の12984.69、ナスダックは23.81ポイ
ント高の2956.98。シカゴ日経225先物清算値は、大証比30円高の9600円。ADRの日本
株はトヨタ<7203>、三菱商<8058>、コマツ<6301>、ブリヂストン<5108>など、対東証
比較(1ドル79.97円換算)で全般小安い。
(村瀬智一)

株式市場強弱材料
強気材料
・シカゴ225先物清算値9600円、大証比30円高
・NYダウ反発、良好な経済指標を好感
・米半導体SOX指数、反発
・外国人投資家の日本株買い越し額、先週は昨年7月以来の高水準
・東証2部指数、28日連騰で過去最長を更新
・日経ジャスダック平均、震災後の高値で新興株市場が活況
・NY金3日続伸、対ユーロでのドル下落を受け
・バルチック海運指数、小幅反発
・東証REIT指数、反発
弱気材料
・ユーロ圏、12年実質GDPは0.3%減の見通しへ下方修正
・欧州株式市場、景気減速懸念が重しで軟調
・AIJ投資顧問、年金2000億円大半消失
・LMEニッケル、小幅続落
・DRAMスポット、反落
留意事項
・Jフロント<3086>、森トラストからパルコ<8251>を買収へ
・政府、イラクに円借款1600億円
・政府の円高対策M&A融資、ソニー<6758>と東芝<6502>が第1号
・DeNA<2432>のモバゲー釣りゲーム、配信差し止め
・経産省、次世代電力計の規格統一へ
・中国地裁、「iPad」の上海での販売継続を認める
・エルピーダ<6665>、1500億円減資
・GSユアサ<6674>、車用蓄電池をタイで増産
・セガサミーHD<6460>、シーガイア運営会社を子会社化
・プラント大手3社、資源エネ開発活発で受注残拡大
・12年度国内セメント需要見通し、前年度見込み比1.2%増
・経産省、エルピーダ<6665>の産活法の期限延長検討
・ドル/円(79円96-98銭)
・ユーロ/円(106円87-92銭)
・NY原油先物、続伸(1バレル=107.83ドル)
・NY債券市場、続伸(10年債利回り0.007%低下)
・長期金利、横ばい(10年債利回り0.975%)
・1月企業向けサービス価格
・米1月新築住宅販売件数
・仏1月求職者数合計
サポート&レジスタンス
終値            9596
5日移動平均        9496
レジスタンス(2)     9669
レジスタンス(1)     9632
ピボット          9573
標準偏差+2σ       9563
サポート(1)       9536
サポート(2)       9477
転換線           9279
基準線           9103
200日移動平均      9041
25日移動平均       9034
100日移動平均      8685
先行スパンB        8541
標準偏差-2σ       8505
先行スパンA        8493
《TM》