4月から肺に影があり、検査を続けてきた。

「1月にタバコを止めたのに何故?」


不安に思い、ある大学病院へ。

レントゲンを撮影し、「何にもありませんよ。」とドクター。

いやいや、影があるから精密検査しに来たので、もっと

して下さいよ。


ドクター、いやいやCTを撮る事に。暫くするといきなり倉庫のような

場所へ監禁状態・・・・・。ドクターが入ってくるも、マスクをして厳戒態勢。

あなたは結核です!

はっきり言い切られました。とりあえず小パニック。

その後、血液検査や喀痰検査を行ない、

一ヶ月以上結核菌が出ない状態。咳も無いし、自覚症状ゼロ。


ドクターはヤケになっていて「おかしい、おかしい」の繰り返し。

もう、良いので、他の医者紹介して下さい、と俺。


続く大学病院へと。すると影はあるのは間違いないので、

「結核かガンでしょう。」

またまた、小パニック。「気管支鏡検査をしましょうか。」と。

ネット等で気管支鏡検査の怖さを知っている俺。

死亡例も聞いている俺。世の中でやりたくない検査ベスト3には

必ず入るであろう。


とりあえず受ける事に。手術の日は朝8:00から。心電図やレントゲン、

血圧、熱等を計り、ついに麻酔へ。その筋肉注射がイタイイタイ。

暫くすると気持ちよくなり、手術台へと。

そこには10名程の医師や検査技師、学生等が取り囲んでいて、

目隠しされ意識はもうろう。「俺は人造人間、ショッカーにされるのでは

と本当に思った。


気管支に麻酔を注入しながら少しずつカメラを入れていく。

タバコを止めたので、麻酔を吸うのがつらかった。

後は、気管支の細い部分で一回咳き込み、肺に入った瞬間強烈な違和感を感じた。

苦しかったが、麻酔が効きまくっている。

全体力を使い果たした。


シャブ中の人間てあんな感じかな。終わった後、動けない。いや、動き方を忘れてしまった。

言葉を喋ろうとするが、喋り方が分からない。でも頭にきちんと言葉は成立している。

脳の回路が麻痺しているのだ。眠りたいのだが、ギスギスと周りの音が聞こえて

眠れない。検査をしている時も、目以外の4感が異常に働き、まるで幽体離脱しているような

場面が鮮明に脳に写し出される。

昼過ぎに検査が終わったが、駅に着いても帰り方が分からない。

最寄り駅から、家まで歩いて10分程だが、1時間以上も街を彷徨っていた。


気がつくとコンビニにいたり、牛丼屋をぐるぐる回っていたり、喉が渇いたので

ジュースを買おうと自動販売機を探し、いくつもの自動販売機を通りすぎ、

いつも自分が買っている自動販売機でコーラを買ったり。

とにかく大変だった。(今思うと。その時はそれが正常だと思っていた。)


二度とやりたくない。覚せい剤も絶対にやりたくないと思ったし、タバコも一生吸わない。

結果は、結核でもガンでも無かった。