『元々、日本には【龍】自体が存在しなかった』
スピリチュアルというものが日本でブームになって以来、色んな系統の神や天使や霊獣などが取り沙汰され、特に近年では【鳳凰】や【龍】にスポットが当たって熱狂的に支持されています。
某〇〇の科学の教祖様が30年近く前に日本の形は龍そのものだって本で書いてから、最近でも「日本列島は龍体」を表した神聖な国だ、と騒がれていますね。
もっとも、言ってしまえばそれは単なる自然の気紛れが生み出した一時的な造形にすぎず、別にそれ自体には何の意味も無いってことくらい、まともな神経をしている人ならわかると思います。そんな聖なる領域なら、国自体がこんなに乱れるわけないですもんね?(笑)
ところで、日本人が愛してやまない【龍】ですが、皆さんはどうして大好きなのだろうと、凄く不思議に思います。理由を聞かせてほしいくらいです。
というのも、そもそもこの日本においては【龍】というもの自体が存在しない国だったからです。
『シンボリックアニマル』というのをご存知でしょうか? これは世界それぞれの国ごとの文化の中における、そこに住む民族にとっての重要な精神的象徴となる、いわば「国のシンボル」となる獣です。
たとえばネイティブアメリカンなら【コヨーテ】、ヨーロッパ内陸の広い範囲では【オオカミ】、といった具合いです。
このシンボリックアニマルは、それぞれの神話や民間伝承の中にも強く反映されています。時に神の使いという『神獣』であったり、自然霊としての『聖獣』であったり、あるいは災害や厄をもたらす『魔獣』であったりと、描かれ方は枚挙にいとまがありませんよね。
そして、日本を象徴する獣の中には【龍】は一切含まれません。
神道系の『天津神』にも地祇系の『国津神』にも、【龍】に関連する神など一人も居ないのです。つまり、旧い時代の日本の文化においては【龍】という「概念」そのものが無かったということです。
日本のシンボリックアニマルの筆頭は、紛れもなく【蛇】です。特に日本の本来の土着神である国津神は、最高神の【大国主神】をして人面蛇体の神でもあるし、同じような神が各地で多く見受けられます。東北地方の【ミシャグジ神】などまさに蛇と男根が合体した姿の神です。
また、アニミズムの中においても、民間伝承の中に出てくる有名な【野槌】(ノヅチ)や【蛟】(ミヅチ)などもやはり蛇であり、どこを探しても【龍】など出てきません。
逆に天津神は全てが整然と「人型」をしており、ユダヤ系らしさを醸し出していますが、天津神の中でのシンボルとして【鳥】が多く出てきます。【天之鳥舟】(アメノトリフネ)や【八咫烏】(ヤタガラス)などが代表的です。
もっとも、【鳥】も実は元々は【蛇】と同じく、古代日本のシンボリックアニマルなので、うまくユダヤが取り込んだカタチとなったと言えるでしょう。
さて本来、【龍】を象徴としているのは『中国』です。またインドでは【蛇】・【牛】・【象】・【猿】・【鳥】の中に【龍】が入ってきますが、基本的には干ばつや災害をもたらす魔獣とされ、それがユーラシア全体に広まっていき、【ドラゴン】に変わりました。
ヒンドゥーにおける神々の敵・『アスラ』の中に宿敵となる干ばつをもたらす邪龍・『ヴリトラ』がいますが、それが北欧神話では神々の最終戦争・『ラグナロク』において神々と世界を滅亡させる邪龍・【ニーズヘッグ】となったり、なかなか面白い関連性があります。
日本に【龍】という概念が生まれたのは、中国との文化的交流が本格的に行われ始めた飛鳥時代辺りからです。中国的思想の【龍】という概念が、それまでの日本の象徴である【蛇】と似ているからという理由で、融合を果たすことになりました。
ですから中国人から見た日本の【龍】は、あちらからしたら違和感満載の存在なんです(笑)。なぜなら中国の【龍】は、そもそもが【龍】であって【蛇】が変化したものではないからです。【龍】は初めから【龍】なのです。だからこそのシンボリックアニマルというわけです。
日本では仏教の【弁財天】ですら【蛇】を従えるものとして徹底的に【蛇】を神聖視している中で、急に【龍】に移行していったというのは、人のいい民族性ゆえなんでしょうね。なんせ後付けでウチの祖神でもある、あの【イワナガヒメ】も龍神にされちゃいましたからね(笑)。
というわけで、日本における【龍】は、非常に浅い歴史であり、打算的に生み出されたものに過ぎないというわけですが、人間のイメージこそがこの宇宙と世界に『神』を生み出したことを考えれば、それはそれでごく自然な流れと言えるのかもしませんね。




