エデンの園で起こった本当の話はこうです。
ある時、アダムとイヴの住まうエデンの中央に、ルシファーに次ぐ力を持つ天使【サマエル】が一本の『ブドウの樹』を植えました。この事にヤハウェは怒り、サマエルとブドウの樹に呪いをかけ、この樹に近付く事をアダムらに堅く禁じました。
しかしサマエルはそんなヤハウェの横暴に逆に怒り、蛇に化けてアダムに近寄り、ある「知恵」を授けました。それは【ブドウの実を発酵させてワインを作る】事でした。
教えられた通りにワインを作り出したアダムとイヴは、それを飲み、味を覚えてしまいました。
ワインは「姦淫」や「神の怒り」を表すシンボルであり、そのまさに禁断ともいえる飲み物を口にしてしまった二人にヤハウェは大変な怒りを露にし、楽園から追放したのです。
しかし、ワインはキリスト教のミサにおいて、その儀式で使われるものであり、聖書の中でキリスト自身も「我が血なり」と高らかに宣言するほど神聖な飲み物です。
実は最初にヤハウェによって呪われたブドウの樹は、後にヤハウェ自身によって祝福を受けているのです。
それが『ノアの方舟』における、大洪水後です。生き延びたノアは、一つだけ持ち出していたブドウの蔓(つる)を地に植えるのをためらっていた時、一人の天使が降りてきて神の伝言を彼にもたらしました。
「ノアよ、立ってその蔓を植えよ。神はそうおっしゃられている。この樹の苦さは甘さに変わり、呪いは祝福となり、そこから生ずるものは神の血となるだろう」
早い話が結局、ヤハウェはワインを独り占めしたかっただけという話なんですが、ここで登場する蛇はルシファーでもサタンでもなく、サマエルです。
サマエルは『神の毒』を意味する天使で、そのルーツは古代セム人の神、【サーマヴルティ】(秤を水平にする者)」で、インドにおける冥界の神・【ヤマ】------仏教における地獄の裁判官、【閻魔天】------にその起源を持ちます。
また、イングランドの伝承では『ハイベリボリアンの国の女王』である女神として【サモテア】(死の女神)」という名で呼ばれ、旅の途中でこの国に訪れたピタゴラスに科学、天文学、文学を教えた神だとされています。
また、アイルランドに伝わるケルト神話では、『影の国(冥界)の女王』・【スカアハ】とも同一視され、後に【クー・フーリン】(クランの猛犬)と名乗り、戦場で大活躍する妖精騎士となる【セタンタ】に武術の修行を手ほどきし、魔法の槍『ゲイボルグ』を授けた女神でもあります。
このようにサマエルは、おおよそ人間に知恵を与える役目を持つ存在として捉えられており、神と人を公平なものにしようとする意図が窺えます。だからこそ原点となったサーマヴルティの名が示す通り、『秤を水平にする者』という意味が重要なものとして浮き彫りとなってきます。
話はまったく逸れますが、聖書のアダムとイヴ、実はこの日本でもその名が残っている事をご存知でしょうか? それは「古史古伝」の一つ『竹内文書』の中に出てきます。細かい事は長くなるのでバッサリ割愛しますが、古代の天皇が日本を16の国に分けた時、それぞれを治めて天皇を補佐する『民王』の一人として、【アダムイブ】という名の王が出てくるのがそれです。
竹内文書での初めての人類・・・・・・『伍色人(ごしきびと)』は、今から3000万年前に生み出されたので、アダムイブは聖書のように最初の人類ではない、という事になります。
これもプチ情報ですが、『竹内文書』ではイエス・キリストが日本を訪れ(【イスキリス・クリスマス】の名で伝わっています)、青森の地で没した事も語られていて、今も青森県新郷村大字『戸来』(へらい)には竹内家に代々伝えられるキリストの墓があります。戸来は『ヘブライ』が訛ったものと考えれば、なかなかミステリアスで面白い謎の一つと言えるのではないでしょうか?
ところで、蛇の正体がサマエルだった事は判明しました。ここには諸説も入り乱れて、サタンの別名である【サタナイル】だとか、色々ありますが、どれも後々の様々な流派の神秘思想宗派の中で議論されたもので、それぞれが都合よく解釈しているようなあいまいな結論しか出ていません。
なので、ここはルシファーとは関係がないというスタンスで話を進めます。
ヤハウェは天界の主となってから、新たに「自分のためだけ」の忠実なる天使を次々と創造しました。それがいわゆる『七大天使』と言われる、【ミカエル】、【ガブリエル】、【ラファエル】、【ウリエル】、【ラグエル】、【ラミエル】、【サリエル】たちです(諸説あり)。
そして天使を束ねる『大天使長』であるルシファーやミカエルをも超える地位に、最強の天使である【メタトロン】を据えました。
「小ヤハウェ」「神の顔」、「契約の天使」、「天国の宰相」、「炎の柱」など、様々な別名を持つ天使ですが、一方で「闇の支配者」とも呼ばれ、血に飢えた残虐な者であり、神に敵対する存在を皆殺しにする者であり、神に代わって審判を下す者である側面もある事から、その闇の一面がすなわち【サタン】の正体であると言われる謎の多い天使です。次回はメタトロンにスポットを当ててみたいと思います。
次回もお楽しみに。
