今宵は唐揚げ、イカリング、にゃん特製サラダなんかを

頬張りながら、ビールで乾杯しつつ・・・。






ひで「高校生の時って、授業中やたらと眠くなかった?」


にゃん「好きだった美術の授業以外は
    けっこうぼーっとしてたなぁ。

    数学と英語の文法の授業が苦手で、
    その時間中は睡魔との戦いだったよ。
    特にお弁当食べた後の数学の時間なんて
    白目むいてて友達に大笑いされちゃった。」

ひで「あははは。
   僕は勉強が大嫌いでまったくしなかったな。
   授業中に教卓の真ん前の席で突っ伏して寝てて、
   友だちからいい度胸してるなって言われたんだけど、
   寝ないと死んでしまうぐらいに眠かったんだよな」


にゃん「よほど眠かったんだね。

    なんでそんなに眠かったの?」


ひで「ラジオのオールナイトニッポンをよく聴いててさ。
   ビートたけしさんのなんか、夜中に腹を抱えて笑ったな。
   世の中にこんなに面白い人がいるんだって思ったよ。
   第一部が午前1時から3時までで、調子に乗って
   別の人の第二部まで聴いちゃうと朝の5時になっちゃって。
   授業中寝ざるを得ないわけだ」


にゃん「懐かしいー、オールナイトニッポン!
    中島みゆきさんのもおもしろかったな
    朝5時まで聴いてたら、授業どころじゃないね」

ひで「授業ってほとんど覚えていないんだけど、
   その中で教科書に載っていた中原中也の詩だけは、
   鮮烈に覚えている」

にゃん「すごい。よほど印象深い詩だったんだね」

ひで「あんなぐうたらな状況で、でも脳裏に刻まれて。
   数十年たった今でも道を歩いていても
   詩の一部が蘇ってくる時がよくある。
   詩って凄まじいエネルギーを持っているんだな。
   特に中也ってヒリヒリするような感受性の海

   漂って生きていた人なんだなって」


にゃん「ひではどの詩が好きだったの」



ひで「教科書に載っているぐらいだから

   とても有名な詩なんだけど、

   『幾時代かがありまして茶色い戦争ありました』の
   茶色がとても気にかかった。

   戦争を茶色に例えるんだって。

   桃色の戦争とか、黄色い戦争とか、金色の戦争とか、

   いろいろあてはめてみたんだけど、

   やっぱり茶色の戦争が一番ぴったりくるし、
   イメージを喚起させる」


にゃん「ほんとだ。

    私もいろんな色を思い浮かべてみたけど

    茶色が一番しっくりくる。」


ひで「それから『月夜の晩に、ボタンが一つ

   波打際に、落ちてゐた。』で始まる月夜の浜辺。
何気なく落ちていた、たったひとつのボタンに、
心を揺さぶらせるほどデリケートなココロが
動いてしまうんだって。

   やっぱり『汚れちまった悲しみに』にも撃たれたな。

   にゃんは山口県にある中原中也記念館に行った事があるんだよね。

   どうだった?」

にゃん「生前の中也の様子を知ることができて、

    詩の感じ方が深まったかも。

    中也は幼い頃から才気にあふれ、
    それでいて人を笑わせる

    ひょうきんなところもあって、
    クラスの人気者だったんだって。


神童と呼ばれた幼少期から多感な思春期に進むと

もともと持っていた繊細な感受性が

短歌や詩という形をとってあふれでて    

それが小林秀雄や草野心平といった

当代の文人との交流につながり

中也がますます詩人として

磨かれていったらしいの。


中也の写真も何点かあって

なかなかの美男子だったよ。

かなり熱烈な恋もしたみたいね」


【中原中也記念館公式ガイドブック】



ひで「中也の恋愛というと、

   小林秀雄が長谷川泰子を中也から奪った

   という話になるけれど、

   三者とも凡人がお付き合いするには

   大変な人物で、単に奪った奪われたでは収まりきらない

   ものを感じる」


にゃん「長谷川さんの著書に

    『中原中也との愛‐ゆきてかへらぬ』があって、
    三人の壮絶な愛についても描かれているというから、
    読んでみたいな」


ひで「そうだね。図書館で借りようか」


にゃん「予約いれとくね」

このようにまた、一瞬かっちりしているように見えるが、
やはりどこかゆる~い二人の時が過ぎていくのであった・・・。