マイケル・ジャクソン死去。

 このニュースを聞いて、まっ先に思い浮かんだのが植木豪くんのことだった。


 植木豪くんは、Pani Crewというダンスパフォーマンスグループのメインボーカルだ。

 彼の存在を知ったのは、僕がまだ大学生のとき。

 植木豪くんのダンスステージを始めて目の当たりにしたとき、すごい衝撃を受けた。

 動きが解析できないのだ。

 サイドスライドで舞台の中央まで移動してきたかと思うと、

 わずかな時間の間に、ムーンウォークやヘッドスピンなどを繰り出し、

 信じられないような動きを次々と見せていく。

 「これは、一体何?本当に人間の動き?」

 ダンスなんか全然詳しくないのに、衝撃を受けた。

 そして、「この人は本物だな」

 そんなことも思った。



 植木豪くんがダンスと出会ったのは、小学6年生のとき。

 テレビでマイケル・ジャクソンのムーンウォークを見て衝撃が走った。

 その日の夜は、次の日からの自分にドキドキして眠れなかったそうだ。

 以来、彼はダンスにとり憑かれる。

 毎日毎日ダンスに熱中し、独学で自分の技を磨き続けた。


 そして1998年。

 イギリスで開催されたブレイクダンスの世界大会。

彼は日本代表チーム“スパルタニックロッカーズ”の一員として出場する。

 結果は、初出場で初優勝。

 日本人初の快挙だった。

 世界一のダンサーになったステージ。

 そのとき頭に浮かんだのは、この言葉だった。

 「マイケル・ジャクソン、ありがとう」



 植木豪くんはテレビでダンスをするとき、必ずムーンウォークをやっていた。

 自分のムーンウォークを見てダンスを始める人が、いるかもしれないからだ。

 そう。マイケルを見てダンスを始めた、かつての自分自身のように。

「あの晩、彼がくれたように、また僕も誰かに宝物をあげればいいなと思います」



 そして昨日。

 植木豪くんのブログを見たら、マイケルへの思いが切々とつづられていた。


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 小学生の時、はじめて彼を見た時眠れなくなった。

 自分は踊るべきなんだ。

 勝手に思い込んだ。
 
 その気持ちのまま今の今まで過ごしてきている。

 常に自分を磨き新しい事をする。

 彼に教えてもらったことだ。

 だから彼を本当に好きなアーティストは彼の物まねをしない。

 自分のまわりの新しいものを吸収して、自分の本質を磨くからだ。


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 僕がはじめて彼を見た歳と、今の僕の歳は一緒だ。

できるかわからないが、規模は小さくなるだろうが、僕を救ってくれた彼のように、僕も誰かに少しでも一瞬でも元気になってもらえるよう頑張っていきたい。

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改めて、マイケル・ジャクソンは彼のすべてだったんだな、と思う。

 ご冥福をお祈りします。










ヴェルディのしわざなのだ。


 「KEEP ON MOVING」

 植木豪くんが書いてくれたサインにあったコトバだ。

 そしてこれは物事がうまくいかないとき、僕がいつも唱え続けるコトバでもある。