韓国編です(インドネシア編は前日のエントリーで)。
マリノスは05年に中国の山東、04年に韓国の城南と同じグループですが、日・中・韓で行われるA3で、04年は中国、05年には韓国に参戦してるので、そのへんのネタも交えて話をしてくれました。
彼らが真顔で言っていたのは、「(この二カ国が絡んだ試合では)マジで審判が買収されてると思ったことがあった」ということ。その最たる例として、昨年のACLの中国・山東戦を挙げてくれました。
この試合の状況を説明すると、ホーム三ツ沢での直接対決を落としたマリノスにとっては、グループリーグ突破のためにはアウェイで勝利するしかない試合。つまり、何が何でも必勝!という体制で乗り込んだ、まさに運命の一戦だった。
しかし、相手の山東にしてみれば、引き分けで十分という試合。早い話が、90分という時間だけが過ぎ去ってくれればOK。そのため、試合では中国のスタジアム全体が手段を選ばずマリノスを勝たせないように動いていたそうだ。
例えば。。。
・其の壱(←中国を意識してみた表記)
「ボールボーイが、ボールを拾いに行かない!」
あからさまな時間稼ぎ作戦として、ラインを出たボールをだ~れも拾いに行かないそうだ。ボールをシカトするボールボーイて・・・・何ボーイなんだよ、オマエは!とツッコミたくなりますね(つーか、ただボール見てるボーイじゃん、それ)。結局、ラインを出るたびマリノスの選手が外まで走ってボールを拾いにいき、セットしてたそうだ・・・・泣ける。
・其の弐
「タンカ運びが、タンカを運ばない+喧嘩売ってくる」
これも時間稼ぎ作戦の一環らしいです。
ちょっとの接触で相手がすぐ倒れる→審判がタンカ呼ぶ→だけど、タンカ運びがなかなかピッチに入ってこようとしない→時間ばかりがかかり、マリノスの選手がイラつく→入ってきたと思ったら、今度はなかなか選手をタンカに乗せない→またマリノスの選手がイラつく→選手を乗せても、やっぱりなかなか運ぼうとしない→さすがにキレたアンジョンファンがタンカ運びに「はよせーや!」的なことを言う(←なぜか関西弁)→その言葉に切れたタンカ運びが、なんとアンジョンファン(←韓国のスーパースター)を殴る→・・・って、イヤありえないから、それ!・・でも紛れもなく実際におきた出来事で、一触即発になりそうだったとのこと。
二人は、その決定的場面を試合の録画中継で確認しようと思ったのだけど、いざその場面がくると、急に画面がピッチのひき(遠くからのアングル)の映像と差し替えられていたそうだ。それもどうみても不自然なタイミングで(笑)とにかく、あのときスタジアムにいたマリサポ全員が、「アンがタンカ運びに殴られたのを見た!」と断言してるので、間違いないそうです。
そして最後、其の参。
「審判がゴールを認めない。」
・・・究極の手段だな、オイ。
前にも紹介したけど、後半残りわずかの状況で、久保のシュートの跳ね返りを田中隼磨がプッシュ!そのボールは、相手のゴールラインを完全に越えた!本来ならば、もちろんこの時点でゴールイン。しかし、それを相手DFが手に当ててかき出した!・・・・にもかかわらず、主審は笛を鳴らさず、ゴールを認めなかったという事件である。
選手全員だけでなく、ベンチまもが血相変えて猛抗議したものの判定は覆らず。これでGKコーチのディドが退場させられたらしいけど、この一点で天国と地獄がかかっていたんだから、そりゃハラワタ煮えくりかえるわ。それまで、どんな理不尽な判定にも耐えてきたものの、さすがに「審判買収されてるだろ、コレ・・」と思ったそうです。
結局、試合終了直前に失点し、予選突破ならず。。。。
「中国は本当にスタジアム全体で、そして冗談抜きで国家ぐるみで山東を勝たせようとしていましたね。」
この話をきいたとき、いつぞやの雑誌で読んだ話を思い出した。
記憶があいまいで申し訳ないけど、確か90年イタリアワールドカップのアジア予選で日本が敗退したときにある選手が言っていた話だったと思う。それは「本気でワールドカップに出場したいのなら、単にプロ化(Jリーグ発足)すればいいっていう話じゃなくて、サッカーファンだけじゃなくて、日本全体が、もっと関心を持ってくれて、そして日本国民全体のパワーや後押しがなければいつまでたっても出場できないよ。だって他のライバル国は、国家総力を注いでぶつかってきてるんだから。」というものだった。ACLに非協力なJリーグの姿勢、シカト状態のマスコミ・・・なんだかすごく似てますよね。
事実、翌年の出場が決まっていた自分らだって、ジュビロやマリノスのACLの戦いにけっこう無関心だったからね、正直。こりゃ相当、孤独な戦いになることを覚悟しておいたほうがいいかもな。
話がそれた。
・・・ちょっと真面目に書きすぎたので、じゃあここからはネタ方面の話でもサクサクと。
すげぇ面白かったのが、「アジア仕様の選手を用意せよ!」というアドバイス。
どういうことかというと。
例えば04年のFマリノスにはユ・サンチョルがいた。さまざまなポジションのこなせるユーティリティプレーヤーだ。そしてなにより、彼は長年韓国代表をひっぱった功績から、韓国国内ではエライ尊敬を集める存在なのだという(もちろんワールドカップにも出場してる)。さらに儒教の国である韓国は、僕ら日本人がビックリするほど先輩・後輩の関係にとても重きを置く国で、その精神はピッチ内でも徹底されるほど行き渡っているから、そりゃサンチョル兄貴の扱いといったらすごいらしい。
だからなにがおきるかというと・・・・韓国とアウェイで試合をした際、どんなに試合が荒れようと、選手同士がエキサイトして乱闘しかけても、ユ・サンチョルがその場に駆け寄って何か一言言うと、韓国の選手は全員「・・すみません」と言って、たちまち引き下がっていくのだという!!
・・・・・これにはマリノスサポ、みんながビックリしたそうだ。
「サンチョル兄さん、すげぇぇぇぇー!!」と。
極めつけはこれ。
試合中にサンチョルが、韓国の若手選手に思いっきりドロップキック(!)を炸裂させた!
普通ならここで乱闘になりかねないプレーなんだけど、信じられないことに、なななななんと!キックを喰らったほうの韓国の若手選手が、痛がりながらなぜかサンチョルに向かって「すみません」と謝っていたそうだ。
えぇぇぇぇぇ~??逆じゃんっ!!どう考えても逆じゃん!!!・・・・ユ・サンチョル、どんだけエライんだよっ!!このエピソードには、もう店内大爆笑でしたね。そんなん聞いたら、僕も「サンチョル兄さん!」て呼びそうになるわ。
「だからACL用だけに、こういうサンチョルみたいな相手に顔の利く選手を獲得するのもいいかもしれないよ」とのアドバイスを頂きました(笑)。うーん、経験しとかないと出てこない発想だわな・・・。すげぇオモしろかった。
もうひとつのアジア要員の話がありまして。
「あと、ウチにはアジアの試合になるとやたら張り切る「栗原」ってヤツがいるんすけど・・・・・」
・・・・栗原・・・・???
はいはいはい、あの若くてちょっと荒っぽいヤツか?と思って聞いていると、「アジアの試合になるとやたら張り切る」という意味を噛み砕いて説明してくれ、どうやら、荒れがちな相手選手と揉めたときにいち早く乱闘に飛び込むケンカ要員・・・・ゴホンゴホン、失礼しました・・・・そういう場面に誰よりも闘志を燃やす頼もしいタイプの選手のことらしいです。マリノスでは、栗原がその要員らしい(笑)
(↑アジアでは無類のたくましさを発揮するという、栗原勇蔵選手)
「ヴェルディにはそういうタイプ、誰かいますか?」と聞かれ、「・・・うーむ」と考え込む、海江田さん。
数秒後あがってきた名前は「・・・・・平本かな?」
その場にいた誰もの頭に浮かんでいた名前そのものズバリだったので、店内大爆笑。うん、ヤナギとか義成が乱闘する姿はどうがんばっても想像できんけど、平本がタイとかインドネシアのスタジアムで、揉めた相手に飛び掛っていく姿だけは0コンマ1秒で想像できたもんな~。
(↑違う意味でアジアでの活躍が期待されている、平本一樹選手)
あとはどうだろう・・・・大分から移籍して来た木島ぐらいかな。そんな匂いを漂わせているのは。
(↑平本選手とともに、アジアの舞台で張りきりそうな木島良輔選手 ※写真は、大分時代)
まぁ、選手うんぬんよりもウチは、ラモス監督が一番黙ってなさそうなんですけどね。
試合以外に興味深かった話もいろいろあり、やっぱり相手サポとの交流があってけっこう楽しかったといってましたね。グッズの交換したりするから、交換用の安いグッズをいっぱい持っていくといいとか、Jリーグチップスのカードはやたらアジアで人気があるとか、そういう生の声を話してくれました。
「日本のクラブの中でも、ヴェルディとマリノスとアントラーズの知名度は抜群だから、間違いなくサポーターも人気者ですよ。絶対グッズ交換せがまれるから」とのことです。じゃあラモス監督なんて、メチャクチャ有名なんじゃねーの。
なお韓国サポからは、試合前にコーラと麦茶を割ったジュースを一ケース差し入れしてもらったけど、恐ろしくマズくてゴール裏でみんな泣きそうになったそうです。とにかく「○○(ドリンク名)は、マズすぎる!」と何度も強調されてました。
最後に語ってくれたのは、「行けば何か得るものが必ずあるから、絶対に行っておいたほうがいい」ということ。それに、こういうチャンスに行っておかないと、「オマエ、あのときいインドネシアにいなかっただろ?俺はいたぜ」と、後々になってクラブの歴史を語れないよと、ますたろうさん。
そうなんですよね。今年J2のヴェルディが、次にACL出る機会なんて、いつになるかわかんないですよね。J1昇格→J1優勝・・・いったい何年かかることやら。。。
他にも、仲悪いサポグループも現地でずっといっしょだし、さすがに仲良くなるよとも言ってました。「世界を目指すクラブにしたいなら、サポ同士のくだらない争いやめようよ」と、なったそうです。いい話だ。
そして最後の最後にますたろうさんが、「ヴェルディは、最近東京ダービーにチカラ入れてるみたいだけど、日産時代から応援してる俺からしたら、やはり読売との戦いが一番燃えるんだよ。日本ダービーは日産と読売だけ!絶対来年のJ1で復活させようぜ!」とアツイエールを贈ってくれました。
とにかく、すごいオモシロトークショーでした。
お二人とも、今回はどうもありがとうございました。
門旗さんの韓国・城南戦の観戦記はコチラ 。中国での試合観戦記はコチラ 。
おまけ:門旗さんに「大橋ってどういう選手でしたか?」と聞いたら、「あぁ、わりとボールこねる選手ですね~」と言われ、思わず「じゃあ、ウチにピッタリじゃないですか!」と相槌を打ってしまったのはナイショだ(笑)