そもそも・・・・の理由を考えてみた。

何のことかというと、イングランド、オランドと渡り歩いてきた戸田和幸が、古巣の清水エスパルスから東京ヴェルディへと移籍してきた「そもそもの理由」は何だったんだろうか、ということである。


 これについては、サポクラ会員に送られる新聞「ヴェスティアル/vol4」にて明確に語ってくれている。


 昨年オランダから清水に戻ったんですが、環境を変えたいと思っていて、ヴェルディは自分がやりたいサッカーをするチームと思っていたし、敵としてやっていても楽しく感じました。昨セカンドステージを戦っていく中で、ここでやりたいと、自分から伝えました。


 つまり、「自分の環境を変えたいと思っていたから」と「ヴェルディが自分のやりたいサッカーをするチームであるから」の二つが主な理由だったようだ。


 さらに、04年のセカンドステージに0-4でヴェルディに負けた試合をあげ、「ボールを動かしてゴールを目指す。手に負えなかったですね。敵ながらこっちでやりたいと思いました(笑)。自分が望むスタイルだなと感じた」と、直接的なきっかけとなる出来事について言及してます。国立競技場で開催されたこのゲームについては、これ以上ないほど完勝したので忘れられないヴェルサポも多いんじゃないかな。


 なお、この試合の4点目は、いまだに語り継がれる得点だ。

センターサークル付近から始まり、フラッシュパスのような無数のパス交換から生まれたあのゴールは、「これがヴェルディのパスまわしなんだ!」というメッセージを見ている人に焼きつけるでした。もうあそこまでワンタッチでパスつなぐ過程を見たら、最後にフィニッシュしたウーゴのゴール自体が、もはやおまけみたいなもんでしたね。そりゃ、あれくらったら戸田もこっちでやりたくなるよ。そのくらい、実に見事なパス回しでした。


 話をもとに戻そう。

こうしてヴェルディへ移籍してきた05シーズン。個人的な気持ちをいうと、戸田がヴェルディに来てくれるというのは、とてもうれしかった。イングランド&オランダ時代に更新していた、彼のサッカー観が伝わってくるとても真摯な日記にはすごく感銘を受けたし、その後古巣の清水に戻る際にも、ヴェルディはオファーを出して交渉したものの残念ながら移籍が実現しなかったという経緯があったからね。


 夏に彼が自身のホームページ「 VS FOOTBALL 」を開設したときにも自分のブログで触れたのだけど(そのときのエントリーはこちら )、僕はかなりの思い入れを戸田和幸という選手に持っていた。そのため、05シーズン最初に執筆した月刊ヴェルディの記事テーマである「新加入選手」については、当初「戸田和幸」を目玉にして書くはずだったのだ。


 しかし、迎えたゼロックススーパーカップ。

ふたを開けてみれば、アルディレス監督は、彼をボランチではなく3バックの左に配置。さらに本人もまだコンディション不足だったと認めていたように、ピッチで見る彼は明らかに精彩を欠いていた。そして、試合終盤には、失点へと直接つながってしまうボールを見失う痛恨のミス。くしくも、もう一人の新加入選手であるワシントンが二得点の大活躍と、その明暗はくっきりと出てしまった。試合後、「いや、最初の選手コラムは、戸田よりもまずワシントンだべ!」と、急遽原稿自体を変更せざるえないほど、桁違いのチカラを見せたこのブラジル人のインパクトは、圧巻だったといえる。


 この一戦でアルディレス監督の信頼を失ったかどうかはわからないが、彼は開幕戦の大分トリニータ戦で、スタメンをはずされる。結局、残り20分となった時間帯に火消し役として投入され、それなりの役割を果たすのだが、一点差に追い詰められた試合終了直前、マークしてた相手の前で転倒してしまい、僕の心臓を止まらせかけてくれた。


 それでも、チームはひさしぶりに開幕戦を白星で飾った。試合後には、チームに早く馴染んで欲しいという意味もこめて、ゴール裏に挨拶へ来た際にサポーターから「戸田コール」が贈られる。アウェイのため、緑ではなく白いユニフォーム姿ではあったが、僕らの戸田コールに手を振り応える戸田和幸を見て、「あー、あの戸田が本当にヴェルディの選手なんだよなぁ」という実感がわいてきたのをよく覚えている。


 こうして始まった、戸田の05シーズン。

彼は「自分のやりたいサッカー」を今年のヴェルディですることができたのだろうか。

 それについて考察してみた・・・のだけど、長くなったので明日以降に続く。