韓国で起きた悲劇的な事故の報道では滑走路長が2800メートルと短かったと報道されているようです。

 

もし、それが航空機運行にとって危険な滑走路長であるならば日本の空港の多くが危険な空港となるかもしれません。

 

福岡空港は日本有数な過密な運行を強いられています。

 

福岡空港では1時間に約38回(1分半に1回)の離着陸が行われる「過密空港」です。

 

そして滑走路長は今回事故が起きた務安国際空港と同じ2800メートル。

 

報道は、何故このように読者やオーディエンスの方々の不安をあおるような切り取り方をするのでしょうか?

 

今回事故を起こしたB737―800型の標準的な着陸速度は260キロ程です。

胴体着陸ではブレーキは使えませんので滑走距離は長くなりますが機体と滑走路との摩擦も大きいため200キロ近い速度のまま滑走路の先の障害物に衝突するとは考えにくいと思います。

 

事故は様々な原因が重なり起きるものです。

 

超音速旅客機コンコルドの離陸失敗での大事故は他の航空機が滑走路に落とした機体部品の破片に起因する事故でした。

コンコルドの離陸から5分ほど前に離陸した米国航空会社のDC10の金属部品が滑走路上に落ち、それをコンコルドのタイヤが踏み、タイヤの破片がコンコルドの燃料タンクに傷をつけ燃料が漏れ、それがエンジンに入りコンコルドは離陸の最中に炎上し墜落しました。

 

このように今回の事故も複数の原因から惨事に至ったと思われますが、緊急時には航空機の降着装置を重力で降ろすことも可能です。

特にB737の主脚には車輪を格納するカバーがなく車輪はむき出しのままで格納されており車輪格納メカニズムは他の機種よりも単純です。

 

私は2800メートルの滑走路は決して短いとは思っていません。

羽田空港のB,D滑走路は2500メートルです。

 

人気の観光地石垣島に2013年に開港した新石垣空港の滑走路は2500メートルですがB737よりも大型の座席数270席のB767-300型機が運行されています。

 

依って、2800メートルの滑走路で200キロものスピードで障害物にぶつかるには着陸地点が悪かったりと滑走路長とは異なる問題がある筈です。

又滑走路の端には日本の空港の多くでオーバーランでの事故被害を軽減するための滑走路よりも軟弱な材料で作られた100メートル程度の過走帯が設置されています。

 

もし2800メートルの滑走路長がジェット機運用に適さないのであれば日本の地方空港の多くでジェット旅客機の運行見直しをしなくてはならなくなります。

 

マスコミは耳目を集めるためにセンセーショナルな一部を切り取り報道します。

 

優秀大学受験を目指す諸君は一方的な報道に惑わされず、クリティカルシンキングを大事にしてください。

 

余談ですが---

私自身LCCの機材の不良個所を見つけた(と思っています)ことがあります。

 

LCCはその性格から整備には不安もあります。

マレーシアのペナンからタイのバンコクに向かうタイエアアジアのB737-300の右側前縁フラップのすぐ後ろの横一列に並んでいるビスの一本だけの頭が見えませんでした。

 

私の見落としだったかもしれませんがその後は海外のLCCに搭乗することを避けるようになりました。