私は特定の宗教を持たないため旅行会社向きでした。
何しろ、日本に限らず世界にはあらゆる宗教施設が観光地になっている場合が多く特定の宗教信仰を持つと添乗業務に支障をきたす場合もあるからです。
JTB在職当時にはクリスマスのパリや年末年始のパリを数回ほど訪れる機会がありました。
私がJTBでバリバリと働いていたのは高度経済成長からバブルに掛けての時期でした。
今は海外添乗業務の多くは専任添乗員の方に外注している場合も多いのですが、昔は旅行の営業から添乗まで一貫して行っていました。
ちょっと脱線しますが年末年始にヨーロッパに添乗員として出かけると帰国後に代休が溜まってしまい会社に出て顧客への年始の挨拶が1月15日過ぎになることも度々ありました。
お客さんからは「もう正月も半分過ぎたぞ今頃挨拶に来て」と苦笑されることも。
その頃テレビでは「24時間働けますか!ビジネスマン、ジャパニーズビジネスマン」のコマーシャルが流れていた時期。
昔から超ホワイト企業だったJTBには無縁なコマーシャル。
それどころか添乗員として出ることが多く代休と年休消化が追いつかず休みを取らないことに上司から小言を良く言われたものです。
そうそう、年末年始のパリのお話をしますね。
クリスマスのパリはとても静かです。
フランスはカトリック信者の多い国ですので有名なマドレーヌ寺院などに出向き荘厳なミサに参加するなど厳かな夜を過ごします。
ところが大晦日はその厳かさはどこにやら、パリ全体が信じられないようなバカ騒ぎとなります。
大晦日の夜のパリの地下鉄とRERは終夜無料で利用できます。
地下鉄の駅構内をシャンパンやワイン片手に大声で歩く人も多く地上に出れば凱旋門(エトワール凱旋門)から南東に延びるシャンゼリゼ通りでは新年のカウントダウンが近づくと車や人で身動きできないくらいに埋め尽くされます。
電飾に輝くエッフェル塔や新年を祝う花火などがサハリンと同じ緯度に位置する寒いパリに集う人たちの心を温かくしてくれます。
シャンゼリゼ通りの混雑は一時期の渋谷の新年カウントダウンやハロウィンの人出のような感じです。
新年を迎えた瞬間は誰と(知らない人)キスをしてもかまわないようで、日本からの観光客の女性は突然キスをされて驚く方もいらっしゃったようです。
消防車に乗った消防士さん達も仮装して現れ、さかんにシャンゼリゼ通に集う方々とキスを交わす光景を目にしたものです。
でも、これも昔の話。
コロナもありましたので今はどうなっているのでしょうか。
パリも元旦が終わると通常の生活に戻りますが、毎年1月の第2水曜日の午前8時から始まる冬のソルド(SOLDES)セールが始まります。
- 「ソルド」で放出するために商品をストックしておくのはNG。ソルド開始の少なくとも1カ月前から店頭で売られていた商品を、ソルド前の表示価格から割り引いて売らなければなりません。それゆえバーゲン用の粗悪品ではなく質のよいものを安く手に入れることができるのです。
- フランスでは夏と冬の年2回、所定の期間のみ行われるバーゲン「ソルドSoldes」があり、フランス人はこの時とばかりに目をつけていた品物をゲットします。有名ブランドのブティックなどでは初日の開店前から長い行列ができ、彼ら&彼女らの意気込みがうかがえます。