ヨーロッパはプロフェッションに誇りを持つ地域です。
先日Yorkさんと話していておもしろかったのが、
「欧州人は自分の仕事について職種を先に言うけど
日本人は自分の属する組織を先にいうよね」
って件です。
確かに、そのとおりで、
日本じゃ会社名からその人の仕事を何となく想像することが多いですよね。
その背景にはやはり大学の教育制度が大きくかかわっているようです。
日本の大学は、大学>学部>学科>研究室ごとの段階で
専門的に取り扱う内容が細分化されていますが、
それは逆に言うと研究室とか指導教員というレベルまで
細かく所属が明文化されるせいで、
大きな目で見て星の数ほどある研究トピックの中から
極めて限られたトピックにしか触れることがないということ。
そういう環境に置かれたら、
「自分のおかれている環境で与えられた物をどうやって処理するか」
というスタンスが培われることが多いのかもしれません。
もちろん、自分で考えて選んだ末にそのような細分化された環境にたどりついて
純粋な好奇心を深ーく満たすことができることもありますが。
そのような環境が、自分の仕事を会社名で代表させる雰囲気を作っているのかも、
と思ったりします。
一方、欧州の大学は、
たといえば今の僕の場合
大学院>研究科>専攻>研究グループ(教員一人につき1グループ)
という細かく身分を与えられてはいるんですが、
学位論文執筆にあたっては自分のトピックを自由に選ぶことができます。
もちろんグループの長がまったく面倒を見切れないようなものをトピックにするのは
何かと問題が生じますが。
でも、論文のなかでほかの教員の指導を併せて仰ぎたければ
大学中どこでも自由に指導を仰ぎに行けて、
その数も制限はないそうです。
これってつまりは、かなり強い研究の目標・目的をもたないと
何にも出来ないってことで、
実は研究トピック選びがめっちゃくちゃ重要となります。
これが大学生活の質を確実に左右します。
そんな状況なんで、
ほとんどの学生は真剣に自分のやりたいことを考えるし、
そこからプロフェッションに誇りをもつ素養が生まれるのかも、
と思ったりします。
ちなみにYorkさんの家族は
一族みんな建築家だそうです。
日本じゃほとんど考えられませんよね笑
ちなみにドイツは設計者の初任の収入はよくないとYorkさんはいうのですが、
それでも日本の初任設計者(特に大規模ではない設計組織)の倍はあります。
物価とか労働環境を兼ねて考えたらかなりの差です。
何がそんな違いを生んでいるのかは、まだ今の僕にはわかりませんが。
で、こないだチューリッヒ市内で見つけた看板(↓)
日本的にいうと、たぶん地方の小さな工務店の看板ですが、
木造を専門としていて、そのロゴというか絵がカッコイイ。
かっこよすぎて思わず写真をとっちゃいました。
何がって、
マッチョなお兄さんがとかそういう話ではなく、
看板が「木、扱ってます!!!」って大声で言ってて、
その掛け値のない姿勢がかっこいい。
日本で木材を扱う会社はこんな表現しないなぁと感じた看板なのでした。
もうひとつおまけをつけると、
Euro Sportsのチャネルでやっていた面白い番組(↓)
画面が反射していまいちな写真ですが。
その名もTimber Sports。
本物の林業、木材産業従事者が
斧を振る技とか、チェーンソウを扱う技を競う競技です。
しかも世界大会。
こんなところにも産業の構図の違いを垣間見たりしたのでした。
とにかく、何で日本では木を扱う仕事に
こういったアピール要素のある雰囲気が少ないんでしょうね。
木自体が身近過ぎるから、っていう理由は
実際に木を伐採したことのある人が少ないような今の時代ではもう成立しなくて、
新しく社会に林業、木材産業をアピールするツールがあると面白いなぁ、
と、えらそうなことを勝手に考える日曜日でした。
ちなみに日本の林業、木材産業イメージは、
欧州みたいにマッチョな感じで、平らな森林でばりばり仕事するイメージじゃなくて、
やっぱり身軽に山でも木でも登って降りる細身なイメージだと思います。
いや、別に何が言いたいわけでもないですけど笑
なんだか長文になってしまった。。。。