第2話 誰しものギャップ
明らかな違いがあった。
それが社会人と学生の違いなのか。
そんな、大雑把な括りではない。
僕はもっと、大事なことが関わっている気がしてやまなかった。
その夜、以前から約束をしていた友達の石野さんと久しぶりに会った。
石野さんは、広告代理店の女性営業ウーマンで知り合ったのはかれこれ1年位前になる。
ちょっとした飲み会を僕が主催していて、そこに遊びに来た一人だった。
意外とお互いお酒が好きがという事で、気が合い月一くらいで語り合う仲になっていた。
いつもの調子で楽しく飲み程好くお酒も入ってきたので、僕は遠まわしに
他の人はこの課題をどう考えているのかを知りたくて質問してみた。
「石野さんってほんと友達多いよねー いつも色んな人と飲んで楽しそうだよー」
「何言ってんの~ ホントは家とかでは超暗いんだよー 」
なーんて、笑いながら簡単にマイナスの発言をする。
「そう見えないよー いつも楽しそうだもん」
「そう見せてるんだよ、暗くしててもいいことないでしょ」
今度はプラスの発言に転換した。
昔の僕になんか似てる・・・。
そういえば、僕もそうやって生きてきたことがあった。
18歳で社会人になり、この10年間、そうやって誰にでも元気な振りして生きてきていた。
意識はしてなかったけど、そうやって生きていた。
けど、最近それに疲れちゃってムリしないで余計な負担はかけないで生きてた。
石野さんには、まだそれが余計な負担に感じていないんだ。
けど、実際本質はどうなんだろう。
僕みたいに昔と今のギャップは感じてきてはいるとは思うけど、まだ僕の年齢になるのは3年ある。
って色々考えたら石野さんの本質を知りたくなってきた。
けど、人の本質なんてなかなかわからないから、あんまり深入りはしなかった。
誰もが25歳くらいを機に、世界が変わってくるのかもしれない。
もしかしたら、それは自然に・・・ すごく静かに・・・ 何も変わっていないかの様に・・・
僕は石野さんと今日は一緒にいることにした。
少しだけ、昔の気持ちを取り戻せる気がしたから。