京大数学 領域 | Bein' aware of wisdom

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xy平面内の -1≦y≦1で定められる領域Dと、中心がPで減点Oを通る円Cを考える。
CがDに含まれるという条件のもとで、Pが動き得る範囲を図示し、その面積を求めよ。


京都大学 文系数学からの出題です。
(プラチカに収録されていた問題だったので、何年度の問題かは知りません。)

中々解法がシンプルな割に、面白い問題だったので、僕の解法とともに紹介します。

まず、-1≦y≦1という領域をxy平面上に図示すると、ちょうど永遠に続く長方形のような図形になることが分かりますね。

この内部に点Pをとり、円Cを考えることになります。

ここで、円Cは原点を通るとあります。
原点を通るという条件があるということは、この円に何らかの制約がつくことになります。

この制約を数式的に理解することから初めて、[円が領域内にある]という条件において、円の半径がどのように変化するかを考えていけばOKでしょう。

まぁこれだけだと分かり難いので、早速解いてみましょう。


[解]

P(a,b)として、円Cの半径をrとすると、

(x-a)^2+(x-b)^2 = r^2

となりますね。

この円が原点を通るとき、

(0-a)^2+(0-b)^2=r^2

⇔ a^2+b^2 =r^2

すなわち、上で言う制約を数式で表すと、

a^2+b^2=r^2  ・・・①

ということになります。

先ほど言ったように、[円Cが領域Dに含まれる]という条件において、半径rの最大・最小値を求めればいいわけです。

なぜならば、半径r≧0 より、

最小≦r≦最大

⇔ 最小≦r^2≦最大

⇔[最小]^2≦a^2+b^2≦[最大]^2

という具合に、最終的にこれがa,bだけの式に帰着されるからです。


では、rの最大・最小値を求めましょう。

最小値は、明らかにr=0ですね。

では、最大値について、

(ⅰ) Pが第1または第2象限にあるか、x軸上にある。すなわちb≧0のとき

円Cの中心点Pは、x軸より上にあります。

つまり、領域Dの天井(y=1)に近い側にあるため、半径をどんどん大きくしていくと、どっちに先にぶつかるか?もちろん、天井ですね。

だから、「y=1に接するとき」rは最大となります。それ以上大きくすると、y≦1からはみ出てしまうのが分かると思います。

y=1 ⇔ y-1=0 と円Cが接するには

[Pとy-1=0との距離] = r となればよいので

lb-1l/(√1) = r

⇔ r=lb-1l

∴ r^2= b^2-2b+1

このときr^2は最大となる。

(ⅱ) Pが第3または第4象限にある。すなわちb<0のとき

円Cの中心は、今度は床(y=-1)に近くなります。

なので、半径をどんどん大きくしていったら、必然的にy=-1に先にぶつかります。このときが最大です。

なので[y=-1に接するとき]rは最大となります。

(ⅰ)と同様の作業をすれば、

r^2= (b+1)^2=b^2+2b+1

が最大となるはずです。

以上により、

b≧0のとき 0≦r^2≦b^2-2b+1

b<0のとき 0≦r^2≦b^2+2b+1



b≧0のとき 0≦a^2+b^2≦b^2-2b+1

b<0のとき 0≦a^2+b^2≦b^2+2b+1

b≧0のとき、 b≦(-a^2+1)/2

b<0のとき  b≧(a^2-1)/2


結果的にこれを図示すればいいことになります。

これを図示すると、上下対称の放物線に囲まれた、楕円形のような図形が出現するはずです。

その面積の求め方は簡単。x軸に関して、上下の図形は対称だから、

2×∫[-1,1] {(-a^2+1)/2} da = 2×1/2×1/6×{1-(-1)}^3 = 8/6 = 4/3

したがって、求める面積は 4/3 となります。

以上、プラチカのとは違いますが、僕が自力で考えた答案でした。


「原点を通る」というたった1文の制約が、後々存在範囲を求めるための大事な布石になってくるんですね。

問題文には-1≦y≦1という1変数の不等式しか存在しないのに、解答ではこんなにも膨らむ。

やはり数学は、面白いです。