This is an outrage up with which I shall not put | Bein' aware of wisdom

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高認取って大学受験した人のブログ

「やっておきたい英語長文1000」に載っていた一節です。

直訳すれば、「これは私には耐えかねる非道である。」となります。

でも、これ、何か変じゃありません?

実は

This is an outrage which I shall not put up with.

の前置詞をあえて前にもってきた文章なのです。


タネ明かしをすると、実はこれは、かの英国の大戦期の首相として有名なウィストン・チャーチルが書いたものと言われています。

「前置詞を文の最後に置くのは厳密な文法から言えば間違っている」という批判が彼の文章に寄せられたため、その批判の通りにわざと皮肉って「This is an outrage up with which I shall not put.」などという奇怪な語順で返答をしたのそうです。

つまり、「お前らの言わんとしてることが本当なら、この(耳障りの悪い)文章も、正しいことになるんだな?」という意味合いが込められています。

「put up with」という郡動詞は、見てのとおり前置詞を2つももつために、関係代名詞の直後に置くとなおのこと奇妙に見えるんですねぇ^^;
そこを上手く突いた、機転の利いた皮肉だな~と思います。


で、興味を持ったのでもう少し英語の文献などで調べてみると、実は彼こそが文法家だったそうで、英文法には人一倍厳しい眼を持っていたのだろうと想像できます。
また、wikipediaなどを見ますと、彼は子供の頃から構文を分解して、厳密に文法を理解するというやり方で英語を学んでいったそうです。
一言で言えば、彼こそが本当の意味での「文法主義者」であるわけです。

ですから、厳格な英語を学んだチャーチル首相だからこそ、根拠の無い規範主義の矛盾点を上手い具合に突けたのだろうと思います。


(紳士の国と言われる英国には似ても似つかない下衆な例えで恐縮ですが、例えばチンピラが偉そうにホラかましてたら、そこに本当のヤクザがやってきた、という感じの格好に似てると思います^^;)




この、「やっておきたい英語長文1000」でしばらく新しい読解本に取り掛かるのはやめて、しばらくは過去問+過去にやった参考書の総復習をしていきたいと思ってるんですが、僕も、彼のように構文をキッチリ理解した英語の勉強をしていきたいと思います。