森博嗣3作目。
今回も、期待を裏切らず、面白かったです。
※以下、若干ネタバレが入りますので、まだ本作品を見ていない方は自己責任でお願いします。
犯人は正直特定できましたけど、詳しいトリックを説明するには至りませんでした。
あと、
「オリオン像を消したことがトリックなのではない。オリオン像をあるように見せかけたのがトリックだったんだ」
という結論は最初の数ページ読んだ時点で分かりました。
ていうか、最早答を言ってるようなものでしょう。アレは。
ですが、森さんの作品というのは、結論が分かればスッキリするようなものじゃないんですよね・・・。
むしろ、結論が分かるからこそ、謎が深まる・・・という感じです。
また、「三ツ星館は、内と外が逆になってる設計なんだ」という旨の言葉は何度も強調されて出ており、これが事件とオリオン像の謎を解く上での手がかりとなるのは薄々分かってはいたんですが、それが事件において何を意味しているのかは、よく分かりませんでした。
やっぱりミステリィを読んでる途中で自分で全ての謎が解けちゃうだなんて、相当読み込んだ人にしか無理なのでしょうかねぇ(苦笑)
自分は、最後で結論を知って「あー!そういうことだったのか!こりゃ一本とられたわい!」っていう側の人間なので、そういう事はまずありえないですw
そして、この小説で唯一答が与えられていない命題
「地下室に篭っていた自称"天王寺翔蔵"は、本当に天王寺翔蔵なのか?」
について。
犀川は天王寺翔蔵だったと「定義」し、「定義するものだけが存在する」という風に話を終えてます。
でも、実際これは天王寺翔蔵ではないようです。
以下、ネットから拾ってきた解釈ですが、
タイトル「笑わない数学者=天王寺翔蔵」より、逆説的に「笑う人間は天王寺翔蔵ではない」から、
最後の自称「天王寺翔蔵」という人間は犀川が部屋を出た後に笑っているので、この人物は片山基生か天王寺宗太郎のどちらかになります。
そして、最後に出てきた少女と話すお爺さんも微笑んでいます。
ですから、残るは白骨化した遺体、すなわち遺体は「笑わない」から、この白骨化した遺体が天王寺翔蔵となります。
ってことは、この地下に篭ってた人間は誰か、ということになります。
この人間は、地下室に篭る理由を防衛ではなく侵略だと言い、「私以外の人間は、外側に閉じ込められている。私だけが自由だ」と言いました。
この概念にマッチしているのは、もちろん片山基生。
よってこの人間は片山基生であり、最後に出てきたお爺さんが、天王寺宗太郎になる。
という感じです。
いや~凄いですね・・・。
いっつも思うんですが、
森先生に限らず、こういった小説家の方々って、一体どうやったらこんな発想が思いつくんだろう?って感じがしますね。
もはや天才としか言いようがないです。
そして、多分一回読んだだけでは、理解できていない部分が少なくとも半分ぐらいある気がします。
(1、2、3読んできて、面白かったんだけれど、どれをとっても謎だらけ。宿題だらけって感じですw)
ですから、このシリーズは、多分何週も読まないと理解できないですね、僕には^^;
3作品見てきてどれも面白かったですが、あえて面白い順に並べるとすれば
①全てがFになる
②笑わない数学者
③冷たい密室と博士たち
でした。
発想については、笑わない数学者が一番凄まじいものがあったのですが、僕は「F」の孤島の世界観にこの上ない魅力を感じたので・・・。
もはやミステリィとは関係ないですけどねw
4巻も、できるだけとっておきたいけど、早く読んでしまいそうですw