参考書の違い | Bein' aware of wisdom

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高認取って大学受験した人のブログ

結構前に話したと思いますが、僕は最近「難関大」を銘打った本を意識して勉強しています。


で、僕が感じた所謂「難関大対策用の本」と「そうでない本」との違いについて話したいと思います。



「何が違うのか」と聞かれたときに、もちろん「英文や設問の難易度」もあると思うんですが、僕は「解説の内容」だと思うんですね。


もっと言えば「文章の内容自体に言及しているかどうか」です。



普通の英語長文の参考書を読んでいて、いつも思うのが「もう少し本文について言及があればな~」ということです。

どれを見ていても、大体構文の説明で、「線ではなくて、それを構成する点ばかりを追っている」という感じです。

「それがどういう文章だったか」、あわよくば「著者はこの文章にどう思ったか」という感想が全く書かれていないんですね。


もちろん文法なくして長文読解は成り立たずですから、文法を等閑にすることは論外です。

でも、ある程度文法ができてきたら、「大事な、難解なところだけは構文説明をし、後は文章の論理展開や内容理解に終始する」というのがいいのかもしれません。


その点、「難関大対策用」の本を読んでいると、内容理解にかなり言及しているものが多いです。


その1つとして、「英語長文特別講義」という竹岡広信先生という方が著された参考書の一説と、それに対する解説を紹介します。


「礼儀・他者に対する感情移入」を題材に書かれた文章です。


A man dining alone was trying to take the cap off a bottle of sauce, but his fingers were so badly crippled by arthritis that he couldn't do it.


He asked a young waiter to help him. The boy took the bottle, turned his back momentarily and loosened the cap without effort.


Then he tightened it again. Turning back to the man, he pretended to make a great effort to open the bottle.


Finally he took it into the kitchen and returned shortly, saying that he had only managed to loosen the cap with a special tool.


What made that boy take so much trouble to consider the feelings of a stranger?

Courtesy, sympathetic courtesy.



crippled: (手足などが)不自由な

arthritis: 関節炎



この文章に対して、著者は


「このボーイさんかっこいいですよね。誰もがこれぐらい気を遣って生きることができれば、もめ事や戦争などは起きないと思いませんか?」

という感想を持っていて、


パラグラフ単位で説明する際にも


「この段落では「体に生涯がある人を気遣うボーイの話」であることがわかるかどうかが大切です。このボーイは、ふたがうまく開けられない、手の不自由な人に劣等感を抱かせないように、わざわざ厨房まで行って特別な道具を用いて瓶のふたを開けたような芝居をしています。このことがわからなかった人は、ふだんの「気遣い」が足りないのかも?」


という話から入っています。



僕はこの文章に関しては、この先生とは違った意見を持っていますが(僕はこのボーイさんは流石にちょっとやりすぎかな、と思います)、今までの参考書にはない、見ていて素敵なコメントだな、と感じました。




もうすぐ受験生になる人間としてはあるまじき態度かもしれませんが、僕はこの参考書で何を一番楽しみにしているか、というと、構文の説明でもなく、模範解答でもなく、この「先生の感想」「文章の内容に対する言及」ですね。


受験英語に限らず日常生活の糧になるようなことを、英語の文章から得られるように工夫して下さっているので、非常に読んでいて楽しいですね。





やはり日本語にせよ英語にせよ、何か文章を書くということは、「これを書きたい!」という筆者の意図があるわけですから、そういった文章の中に垣間見える要素というのは、文法と同じくらい大事なことだと僕は思っています。





※この記事で引用した文章は、全て旺文社の「竹岡の英語塾 難関大入試 英語長文特別講義」によるものであり、著作権は全てこの著書の著者に属します。