できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?この「ひと工夫」が一流の人生を作る。/翔泳社
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できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?という問いにどのように答えればいいのだろう。
そもそも、その問い自体が妥当なのだろうか。
待ち合わせは、本屋の近くでするべきなのか。たまに休日の早朝の道端でゴルフセットを持ったおじさんがぼんやり立っているのを見かけるが、そう言われてみれば、確かにああいう人たちは「できる人」にはあまり見えない。それどころか痛々しい感じがするが、それはおれの偏見なのだろう。偏見なのだろうが、「できない人はなぜ、ゴルフセットを抱えて朝から道端に突っ立っているのか?」というタイトルの本があればちょっと読んでみたい気もする。しかしよくよく考えてみれば、早朝から開いている本屋はほとんどないので、そもそも待ち合わせのしようがないことに今、気づいた。迂闊であった。スコトーマであった。
もちろん、これは余談である。いきなり余談から入るのもどうかと思うが、これはある種の「お筆先」のようなものなので、おれにはどうしようもない。
そういうわけで、久々のアメブロは、レビュープラスさんから献本頂いた『できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?』のレビューである。
それにしても最近の本にはなぜ、この手のタイトルが多いのだろうか。こうしたスタイルがいまだに出版社サイドのトレンドなのだろうか。それとも編集会議を重ねた末に導き出されたのだろうか。次々に疑問がバブルのごとく生まれては弾けていくが、ここはひとつきれいさっぱりと忘れて先に進みたいと思う。
本書は、凡人が怠りがちな「ひと工夫」のススメであり、その中のひとつがタイトルにもなった、「待ち合わせは本屋でしましょう」という工夫の提案である。
要するに、人生あるいは、ビジネスにおけるTip集だ。なので、たまたまあなたが待ち合わせに本屋を多用していたからといって、自動的にあなたが「できる人」になるというわけでは、まったくない。金輪際ない。
おれも昔、友人との待ち合わせによく、本屋を使っていたが、それは外で待つより時間つぶしになるからという以上の理由はなかった。それに、おれの地元では本屋以外に気の利いた待ち合わせ場所など存在しなかった。今はどうか知らないが、おそらく大して変わりないだろう。せいぜいAEONタウンとか国道沿いのコンビニとか、そんなもんだと思う。個人的にはそれぞれが現地集合というのが合理的だと思うが、それはおそらく別問題だ。
以上のことから、つまり、「できる人は本屋で待ち合わせをするかもしれないが、できない人もまた、本屋で待ち合わせをする。」という結論が導き出されるわけだが、これは、何を意味するのか。そして本書が言わんとしていることは何か。
あなたに目的意識、ビジョンがあるかないかということだ。あるいは、自覚があるのかないのかということだ。
本書のサブタイトルに『このひと工夫が一流の人生を作る。』とあるが、実はこっちが本当のタイトルと言ってもいい。しかし、「ひと工夫」とは無自覚な人間にはできない。仮にやろうとしても、無自覚な人は「ひと工夫」する理由が曖昧なため、結果がすぐに出ないと、早々にあきらめてしまったり、面倒くさがったりするだろう。あるいは、「ひと工夫」することは損だと考えている人もいるように思える。「そんなことしたら、余計な仕事やらされちゃうよ」という感じで。
一見平易な文章で書かれたこうした本、つまり「自己啓発本」は無自覚な人、他律的な人には見えないことが書かれている。
本屋での待ち合わせ以外、30個以上の「Tip」が本書では紹介されているが、それらを「成功の秘訣」と取るか、単なる「成功者の経験談」と取るか、あるいはそれ以外の何かのヒントを得るかは読み手の在り方次第だ。
『自灯明』
忘れかけていた、そんな言葉を思い出させてくれた本であった。
著者紹介
1958年東京生まれ。エッセイスト・ビジネス作家・経営者・講演家
33歳で結婚後、ガンに倒れた夫の後を継ぎ、専業主婦から健康器具販売の社長に転身。
独自のビジネス手法で通販業界で成功を収め、多額の負債を抱えていた会社を優良企業に変える。
その躍進がメディアにも紹介され、日本テレビ系「マネーの虎」(番組終了)に出演し人気を博す。
幼少期に吃音を患い対人恐怖症に陥った経験を克服し、講演活動も精力的に行っている。
理学博士・MBA・宅建・行政書士・栄養士等を短期に取得したことでも知られ、その勉強法には定評がある。
著作は、波乱万丈の経営経験を綴った「起業術」や「仕事術」から「時間活用」「話し方」「勉強術」「整理術」「女性の生き方」「エッセイ集」等、幅広いジャンルを手掛ける。
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