ヘルタースケルター | Hack or Fuck ?

Hack or Fuck ?

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photo credit: Timm Suess via photopin cc

「ヘルタースケルター」…と言ってもエリカ様の話ではない。



あのシャロン・テート殺害事件の首謀者チャールズ・マンソンの方だ。▼



シャロン・テート…1969年、狂信的カルト指導者チャールズ・マンソンの信奉者達の一人、スーザン・アトキンスら5人組によって、一緒にいた他の4名とともにロサンゼルスの自宅で殺害された。

<Wikipediaより>





で、肝心の「ヘルタースケルター」だが、ビートルズの曲のタイトルである。



その根拠は皆目分からないが、砂漠に疑似生活共同体「ファミリー」のみで隠れ住むよう信者に説いていたマンソンはビートルズのその曲は自身が画策した「ヘルタースケルターの黙示」を想定したものだと言ったらしい。



それでは「ヘルタースケルターの黙示」とは何かというと、白人と黒人のハルマゲドン、つまり人種間闘争のことを指すようだ。



そうした人種間闘争と女優殺害に何の関係があるのか意味不明ではある。どうもシャロン・テートは「とばっちり」を喰ったらしいという話があるらしい。



ここまで引っ張って何だが、今回おれがふと思い出したのは「ヘルタースケルター」そのものの話ではなく、マンソンあるいはその一味の誰かが語ったとされる言葉についてだ。



“What happened is all good.”



「起こったことはすべて正しい。」



勝間和代ではない。



妊娠していた女優の腹を切り裂くという狂気の所業を実行した人間が言ったというのだ。



大昔に読んだ村上春樹と村上龍の対談本でこのエピソードを読んだのを思い出したのだ。



なぜそんな昔読んだ本のエピソードを思い出したのかと言うと、安部首相の水俣病発言の記事を読んだからだ。▼



東京新聞:「水俣条約」会議 「日本は水銀被害克服」:政治(TOKYO Web)
トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事2013年10月10日 朝刊 水銀による健康被害や環境汚染の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」を採択する外交会議の開会記念式典が九日、熊本県水俣市で開かれ...




引用した記事の通り、日本は水銀による被害を克服したと首相は発言したのだという。



これは先月の五輪招致の際にした「福島原発の汚染水は完全にコントロール下にある」とスピーチしたのと同じようなものだと思う。



わが国の現首相にとっては、水俣はもとより福島もすでに過去の出来事のようだ。



呆れるほどのポジティブシンキングだが、もしや…と思った。



もしや、首相はあのマンソンファミリーのように、それがなんであれ、「起こったことはすべて正しい」と自覚的に考えているのではないかという思いが過った。



おそらく違うとは思うが、万が一にも同じようなメンタリティだったとしたらと想像すると戦慄すべきものがある…と思った。



時の最高権力者がマンソンファミリーのように常人とはまったく異なった次元に生きているとするなら、確かに原発事故だろうと水銀汚染だろうとそれが起こったのなら「正しい」のだと平気で言ってのけるのかもしれない。



もちろん首相はさすがに「起こったことはすべて正しいのです」とは言わないだろう。



しかし、いまだ継続中である水銀汚染問題も原発事故もアンダーコントロールであり、克服したと宣言してしまうそのメンタリティにはやはり空恐ろしいものがある。



あれこれ不穏なことを考えながらおれは街を歩く。



煽るように頭の中でビートルズの「ヘルタースケルター」がガンガン鳴り響く。



だが、そんなおれの妄想とは裏腹に静かな街には金木犀の香りが辺り一面に満ちている。