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Darkness: あなたの持っているスマートフォンは最後に国を消滅させる
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先日、上記のブログをTwitter経由で見た。
大まかに言うと、情報化が進むことによってあらゆるものが「スペック」として捉えられるようになり、「スペック」と語ることができるようになった諸々のものは「選択」の対象であるひとつの情報となるのだという。
そして、国家もまたそうした個々人の選択の対象となるであろうと予測している。
あなたがまだ信じられなくても、そのような時代に向かって世の中は動いているようだ。
自分が生きているうちにそうなるかどうかは知る由もないが、まあそうかもなとは思う。
個人的には特に衝撃的な話でもない。
情報化されるのは、何か特別な化学変化が起きるからではなく、そもそもが「情報」だからだ。
断片化するのはそもそもが断片だからだ。
そもそもの断片を虚構によって繋ぎ合わせていたのが、情報化によって再度断片に戻る。
そういうことだろうと思う。
つまり情報化はこれまでわれわれが無意識だった虚構システムを無化する方向に進んでいるということだ。
こうした流れに歯止めをかけるべくある方面では強権を発動しようとする動きもなくはないが、おそらくそうした目論見はゆっくりと瓦解していくだろう。
その結果、身も蓋もない状況が頻発するかもしれない。
そうした兆しは至る所にあるし、今後到来するであろう身も蓋もない状況に対応するためにはどうすればいいかなどという問題も至る所で取り上げられている。
どうすればいいのか?
もちろんおれにはそんな答えの持ち合わせはない。
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ところで、らくらくホンというのがあるが、その手の機種は文字がかなり大きく表示される。
昨日、バスの車内で隣に座った初老の男性がそのらくらくホンを開いてメールを読んでいた。
チラッと見ただけでその内容が丸見えだった。
おそらく発信者は男性の義理の妹で、彼女の旦那が男性の兄弟だろうと思われた。
そして、その兄弟は脳梗塞か脳卒中かとにかく脳に爆弾を抱えているらしかった。
医者にはこのままの生活を続けていれば余命3年だと宣告されたらしい。
医者はもちろん妻である彼女もストレスのかかる仕事を辞めるように言ったのだが、本人は仕事をしている間は気が張っているから大丈夫だと聞き入れないのだという。
そうした状況は妻である彼女にも大きな心労を与えているようだった。
一通りそのメールに目を通した初老の男性は、「(自分の兄弟のために)気を遣ってくれてありがとう」と返信した後、バスを降りた。
もちろん何事もなかったような表情だった。
情報化とは自分にとって本当に大切な何か、相対化され得ない何かを知るためのプロセスなのかもしれない。