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空はいかにも秋晴れという風に青く澄み渡っている。
午後になってまた暑さがそれなりに戻ってきたが、もう真夏のそれではない。
夏に咲き乱れた花々は色あせ、やがて枯れていく。
今年の夏も様々なニュースが世間という庭で咲き乱れ、狂おしい芳香で人々はむせ返った。
2020年のオリンピック開催地に東京が決まった。
福島原発の汚染水は完全にコントロールされていると完全装備で現地に赴いた首相が語った。
テレビの人気司会者が番組を降りた。
消費税について出来レースのような諮問会議が開かれた。
急に思い出したのだというようなリニア新幹線の話題。
あれほど連呼されていた「絆」という言葉は枯れ果てて土に還ったようだ。
遠く海の向こうのシリアで起きた殺し合いは今も続いている。
これは本当に現実なのかと思う。
趣味の悪い誰かのだだっ広い庭園に迷い込んだような気がする。
煙草をくわえながらぼんやりと毒々しい庭園を眺める。
いつもの妄想が煙のように立ち上る。
遺伝子組み換えされてるのは食物だけじゃない。
記憶もまた組み換えられているのだと思う。
もう秋だというのにその庭園では夏の残り香が辺り一面漂っている。