ガキ帝国 | Hack or Fuck ?

Hack or Fuck ?

ブログの説明を入力します。



数日前、「東京2020オリンピック・パラリンピック招致応援映像」というPVを観て目眩のような、脱力感のような、あるいは更年期障害におけるホットフラッシュのような感覚に包まれた。

一体この映像は誰に向けて発信しているのか。

まさか海外の五輪招致に関係する人々に向けられたものではないだろう。

とすると、この映像は日本人に向けての映像だと思われる。

あの坂本九ちゃんの名曲「上を向いて歩こう」に合わせて誰も彼もが笑顔で意味不明なダンスを踊っている。

あらゆる出演者がとびきりの笑顔だ。

もちろん首相や都知事も無垢な幼子のように天真爛漫な笑顔だ。

砂場に埋もれた砂鉄が磁石に吸い寄せられるように、おれの記憶はいつかどこかで聞いたことのあるマッカーサーの言葉に引き寄せられた。

それは、「日本人は12歳の少年である」という発言だ。

民主主義の成熟度について「アメリカがもう40代なのに対して日本は12歳の少年、日本ならば理想を実現する余地はまだある」と述べた。
上記「12歳」発言は、1951年5月5日に米上院軍事外交委員会において上院議員 R・ロングが行った「日本とドイツの占領の違い」に関する回答として行われたものである。マッカーサーは次のように回答した。
科学、美術、宗教、文化などの発展の上からみて、アングロ・サクソン民族が 45 歳の壮年に達しているとすれば、ドイツ人もそれとほぼ同年齢である。
しかし、日本人はまだ生徒の時代で、まだ 12 歳の少年である。
ドイツ人が現代の道徳や国際道義を守るのを怠けたのは、それを意識してやったのであり、国際情勢に関する無知のためではない。ドイツが犯した失敗は、日本人の失敗とは趣を異にするのである。
ドイツ人は、今後も自分がこれと信ずることに向かっていくであろう。日本人はドイツ人とは違う。

▲wikipediaより引用

1951年からすでに62年の歳月が過ぎている。人間なら当時12歳の少年はすでに高齢者である。来年には後期高齢者の仲間入りとなる年齢だ。

しかしこの映像を見ていると、マッカーサー発言からこの国はあまり年齢を重ねていないのではないかという思いに囚われる。

12歳よりは成長したとして、せいぜい14歳、もう少しおまけしたとしても未成年だ。

少なくともこうした映像を発信する側から見て、受け手であるこの国の大多数の国民は「未成年」だと設定しているのかと思わざるを得ない。

刻一刻と深刻な状況にある福島原発の汚染水問題などまるで存在しないかのようなこのPVは、そうした日本人の「成熟度」を象徴しているようだ。

そんなことを考えて震災以降の流れを断片的に思い浮かべてみると、やはりそうなのかもしれないという淀みに流れ着く。

その淀みには、経済成長やTPPや原発再稼働や地震やその他様々なものがクルクルと渦巻いている。

そして、「経済成長」への執心は親の苦労に頓着しない子どもが、お年玉を貰ったら何を買おうかと夢想しているようなものではないかという気がしてくる。

ガキ帝国

おれは遠い昔に観た映画のタイトルを思い出す。
あの紳助・竜介主演の大阪ミナミを舞台にしたチンピラたちの青春群像劇である。

もちろんその映画と特に何の関係もないのだが、今の日本の状況は成熟とは正反対の、まさに「ガキ帝国」への道に進んでいるのではないかという気がする。

まさかとは思うが、そう考えると「ああ、そうか」と思えることがあまりにも多すぎて単なる世迷い言だと片付けるにもためらいを覚える。

特に例は挙げないが、あたりを見回せば、それが「大人」のやることなのかといいたくなることが腐るほどある。

よく、「大人の対応」とか「大人の事情」などというが、おれには全然「大人」のやることに思えない。

確かに、経済至上主義の世の中で「大人」であることは必ずしも必要とされないのかもしれない。

カネさえあればそんなことは関係ない。

子どもたちはそんな大人を黙って見ている。

そんな風潮が支配的な環境でまともな大人になることは至難の業だ。

また、鬱病の増加傾向も「大人の不在」が大きな影響を与えているとおれは踏んでいる。

こうして書いていてだんだん不毛感を感じてきたのでこの辺でやめることにするが、まあそういうことだ。

いずれにせよ、着々と「ガキ帝国」の計画は進んでいる。

おれはそんな状況に飽き飽きしつつ、再びマッカーサーの言葉を何度も読み返す。

「日本ならば理想を実現する余地はまだある」

おれはあたりを見渡す。

どこもかしこも蠅の王がふんぞり返っている。


これは単なる妄想です。よい子のみなさんは鵜呑みにしないでね。







蠅の王 (新潮文庫)/新潮社

¥740
Amazon.co.jp