
「悪の教典」を観て、サイコパスのことを考えていると数年前に観たドキュメンタリーを思い出した。
「ザ・コーポレーション」という映画だ。
確か、グローバル企業というものを一個の人間として捉えると、「彼」はサイコパスのような存在だというようなことが描かれていたと思う。
ウィキペディアでサイコパスとは何かと検索してみると、
精神病質(せいしんびょうしつ、英:サイコパシー、Psychopathy)は、反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使わている。その精神病質者を英語でサイコパス(Psychopath)と呼び、「サイコパス」が通称になっている。
と、ある。さらに、
三省堂の大辞林によると「性格が逸脱し、そのために社会を困らせたり自らが悩むもの。性格異常」と記載されている。
先天的な原因があるとされほとんどが男性である。脳の働きを計測すると、共感性を司る部分の働きが弱い場合が多いという。
サイコパスは社会の捕食者(プレデター)であり、極端な冷酷さ、未慈悲、エゴイズム、感情の欠如、結果至上主義が主な特徴で、良心や他人に対する思いやりに全く欠けており、罪悪感も後悔の念もなく、社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手に欲しいものを取り、好きなように振る舞う。その大部分は殺人を犯す凶悪犯ではなく、身近にひそむ異常人格者である。北米には少なくとも200万人、ニューヨークだけでも10万人のサイコパスがいると、犯罪心理学者ロバート・D・ヘア(Robert D. Hare)は統計的に見積っている。
日本の法律「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第5条では精神障害者と定義している。
…グローバル企業とはこうした性格破綻者のようなものなのだと映画は言う。
俄かには賛同し難いが、今現在の世界の状況を見ると、一笑に付すこともためらわれるものがある。
少なくとも、実生活においてサイコパスにはあまり近づきたくはないだろう。
そして当の本人には一刻も早くカウンセリングを受けるとか、滝に打たれるとか、坐禅修行するとか、神父さんに懺悔するとかを勧めたいと思うだろう。
それが駄目なら逃げることを考えるはずだ。
しかしながら、これが「会社」となると途端に話が変わってくる。
日本では最近でこそ、「ブラック企業」などという言葉も定着化しつつあるようだが、思うにその名称は一部の中小企業や新興の企業に対して使われているのにとどまり、全体としてはまだまだ「会社信仰」というのは揺らいでいないように思える。
だから今でも、「就活」というある種宗教行事のようなものがあるのだろう。よく分からないが。
話が逸れた。
で、そう。サイコパスの話だった。
グローバル企業はサイコパスであると「ザ・コーポレーション」は言う。
われわれはいつまでそんなサイコパスに支配されるのだと言う。
われわれはそんなサイコパス企業に対してカウンセリングを勧めることも逃げることもせず、「寝ぼけたことを言ってんじゃないよ!こちとらGrow or Die なんだよ!夢を手帳に書くんだよ!」と一喝され、反骨心はたちまち複雑骨折を起こし、決意は急転直下し、逆にそうした企業に自分を合わせるのに躍起になり、挙げ句の果てには、自分の方が鬱になり気がつけば大量の薬をボリボリと噛み砕いている。
恐ろしいことだ。
そして恐ろしいことはもうひとつある。この記事で何を書こうとしていたのかを忘れてしまったことだ…。
だが、そんなことは問題ではない。たぶんそう大したことは考えていなかったはずだ。
結論などない。あるのはそのときどきの考察の結果だけだ。と言ったのは確かウィリアム・ヴァロウズだ。
「ジャンキー」、「裸のランチ」…実に懐かしい。ほとんど意味不明だったが…
で、サイコパスに話を戻すと、要するに彼らサイコパスは、個人であれ組織であれ、自分(たち)の欲求のためにあの手この手で他者を支配しようとするわけだが、そうした人格が映画や小説を通して現れて、その存在が認知され始めた今、そうした在り方はそろそろ限界に来ているのではないかということをおれは言いたかったのだというのは嘘で今、思いついた。
まあそういう意味で、フィクションはわれわれの内部に潜む澱をすくい上げ、曝露し、「相対化」する役割があるということだ。
われわれは相対化されたものに支配されることはない。
▼表されたものだけが、変わることができる、というようなことを言ったのは確か村上龍だが、その村上龍の「イン・ザ・ミソスープ」もまたサイコパスを題材にした作品だ。実にグロくてそれでいて世界と日本、日本人について考えさせられる物語である。
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▼サイコパスものの最高傑作だと個人的には思っている。
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