中段受けは、
基本稽古のなかでも、
特に最初に行う稽古です。
とはいえ、
組手の攻防のなかで、
中段受けで相手に捌かれたこと、
もしくは、
中段受けで自分が捌いたこと、
そうそうあるわけではありません。
基本稽古について、
実践的な意味を軽視する道場、
指導者は多く、
試合に向けて、
型の選手は始めから型の練習を、
組手の選手は始めから組手の練習をするもの
という理解で進んできている経験者も
たいへん多い。
中段受けの稽古の意味は、
剛と柔のいずれをも学ぶための基本が
凝縮されていることによるものです。
呼吸法に合わせた円運動とともに、
剛においては、
身体の軸を内へ絞り込むと同時に、
内から外への反作用により、
鋼のような強さを。
柔においては、
身体の軸を外へ開放すると同時に、
すべてを外から内へと引き寄せ、
しなやかな強さを。
肘が軸に一番近い技であることからも、
最も重要な基本の稽古として
位置づけられてきたその伝統を
よく理解することができる。
この中段受けを意識している
剛柔流の猫足立ちの構え、
とても強いと思います。
長年の取り組みからも、
稽古はすべて「受け」から
行うことが大事であると
再認識しています。
その初手が中段受けです。
それは、
稽古を理論的に行ううえでも、
先手なし、
という武道精神を意識していくうえでも、
例外はないものと思います。
そして、技の意味を理解し、
武道としての身体運動の全体を考える。
インドのヨガを源流とする
剛柔流の呼吸法と身体の遣い方、
緩急、解放と収縮、間合いや間の取り方、
息吹、残心(残身)など。
受け技ひとつからも、
心身の両面において
多くのことを学ぶことができる。
そこから得られる手応えが、
自己のゆるぎない軸を形づくっていく。
きっと、さまざまな幅を広げていく
ものとなるでしょう。
併せて、
軸にかかわるコラムを再掲します。