ここは修業(しゅうぎょう)の場、

 

恥ずかしいことは一切ない―――。

 

これは、

 

会長範士が幾度となく、

 

道場生に伝えてきた言葉である。

 

 

道場において、

 

うまくいかなかったこと、

 

ミスしたこと、

 

失敗したことがあったとしても、

 

『恥ずかしく思う必要はない』

 

という言葉は、

 

私の中に大きく残っている。

 

 

自分を顧みて、

 

次に生かすことはむろん大事である。

 

しかし、道場での失敗を

 

恥じ入る必要はないということである。

 

もちろん、ともに学ぶ仲間が

 

その場で笑うことはなく、

 

のちのちまで笑いの種とすることもない。

 

 

そうはいっても、

 

周囲の印象は別にして

 

実際のその時々の自分としては、

 

数々の道場で

 

恥ずかしく思うようなことを

 

一つや二つではなく、

 

たくさん経てきたように思う。

 

修業する者の立場としては、

 

また異なったものがあるのは

 

事実であろう。

 

 

だが、指導者の姿勢、

 

環境づくり、指導方針として

 

強く訴えるものがあるのだと

 

改めて強く思うとろこがある。

 

気持ちのこもった気迫で

 

背中を押してもらってきた感覚、

 

とでもいったらいいだろうか。

 

道場で恵まれた

 

唯一無二の経験である。

 

 

学校や社会で

 

恥ずかしく思うような経験は

 

誰にでも思い当たるものがあるだろうが、

 

臆せずに自分を前面に出す、

 

ここぞという局面で自分を出し切る力は、

 

そうそうに培われるものではないと、

 

いまさらながらに思う。

 

 

全力を出す力、

 

腹の底から湧き上がる気合、

 

自分の声で想いを周囲に伝える力、

 

すべての基礎や出発点が

 

この場にあると感じる。

 

道場が道場たるゆえんは、

 

ここにあると断言できる。

 

 

仲間はもちろん、

 

私たちがかかわる少年少女や若者、

 

そしてすべての人々が、

 

いまとこれからの社会に背を向けず、

 

果敢に挑戦していってほしい。

 

体験することのすべてを糧とし、

 

きっと成長できる。

 

改めて思う。

 

ここは修業(しゅうぎょう)の場である。