大神「標的?」
麻生「いや、大丈夫大丈夫!」
・・・・・・・・ん、何でここのお偉いさんが俺のことを知っている?
ドアをもう一度見ると、人の気配はない。
まさか、幽霊でも出るのか?
今は朝なのに・・・・
かつみタワーに灯りがともる。
絶句の職員が出勤してきた。
人が増えてくると、さっきまでの異様な空気を感じなくなった。
大神「篠原さん、撮影の準備をしましょう」
篠原「そ、そうだな」
ネット講座のプロモーション映像・・・
絶句福岡校のカリスマ講師が熱弁をふるう。
狩須磨先生のクラスは福丘県庁採用試験の合格率ナンバーワンらしい。
大神(公務員になったら安泰なのかな?)
篠原「はい、OKです」
狩須磨「ありがとうございました」
篠原「午後から導入講座ですよね?」
狩須磨「はい、よろしくお願いします」
御珠昴部長「き、キミが大神くんかい?」
大神「はい」
・・・・・50代半ばくらいの紳士だ。
痩せ型でメガネをかけている、頭の毛はふさふさしている。
知的な雰囲気でカレセン女性のストライクゾーンか?
御珠「ちょっと昼飯につきあってくれないか?」
大神「少々お待ちを・・・」
篠原「大丈夫だ大神、行ってこい」
大神「いいんですか」
篠原「むしろ絶対に行け!撮影より優先だ」
大神「はあ・・・」
御珠「篠原くんありがとう!」
篠原さんが黙って頭を下げている。
やはりここのお偉いさんなのだろう。
御珠「自己紹介が遅れたね。私は御珠昴(みたますばる)という。ここの中間管理職といった所だ」
大神「大神陽介です」(宿無しフリーターなんだが、それを言うのもな~)
かつみタワーの3階、レストランフロアに案内された。
・・・・・・・・高そうだな。
大神「すみません、今日は持ち合わせが・・・」(全財産が2,111円だが)
御珠「今日は私が出すから大丈夫だ」
大神「えっ?」(変だ。単なるフリーターの俺におごってくれるなんて・・・)
レストラン「クラウド」
うっ、高級感が漂っている・・・・。
もっときれいな格好で来たかったぜ。
御珠「こっちだ」
案内された席に、女性の後ろ姿が見えた。
御珠「ほ、星降」