また幾日かたったある日のことでした。

主人は、サーヤが急に明るくなったことに気がつきました。

いつも楽しそうに働いています。

主人は、サーヤを呼んで話を聞いてみたくなりました。


「サーヤ、いつもニコニコしているね。

 何か、うれしいことがあったのかい?」


「はい!

 私のように、お金や財産がまったくない人でも、

 思いやりの心さえあれば、七つの施しができると、

 お釈迦さまは教えてくださいました。

 私にもできる布施があったと分かって、うれしくて……」


これはお経に説かれている有名な

「無財の七施」という教えです。


簡単ですが、意味を載せておきます。


1眼施(げんせ)
 ……温かい眼差しで接する

2和顔悦色施(わげんえっしょくせ)
 ……明るい笑顔、優しい微笑をたたえた笑顔で人に接する

3言辞施(ごんじせ)
 ……心からの優しい言葉をかけていく

4身施(しんせ)
 ……肉体を使って人のため、社会のために働くこと。無料奉仕

5心施(しんせ)
 ……「ありがとう」「すみません」などの感謝の言葉を述べる

6床座施(しょうざせ)
 ……場所や席を譲り合う

7房舎施(ぼうしゃせ)
 ……訪ねてくる人があれば一宿一飯の施しを与え、労をねぎらう


2600年前にインドで説かれたことですが、

いつでも大切にしたい心がけです。


サーヤは、主人に向かって、笑顔で話し続けます。


「私には、2番めの『和顔悦色施』ができそうなので、

 一生懸命に、優しい笑顔で接するように努力しているのです」


「ふーん。ニコニコしていることは、そんなにいいことなのかい」


「はい。

 暗く悲しそうな顔をすると、周りの人もつらくなるし、

 自分もみじめな気持ちになります。

 苦しくてもにっこり笑うと、気持ちが和らいできます。

 周囲の人の心も明るくなります。

 いつもニコニコしようと決心したら、

 親がいないことや、つらいなと思っていたことが、

 だんだんつらくなくなってきました。

 泣きたい時も、にっこり笑ってみると、

 気持ちが落ち着いて泣かなくなるんです」


サーヤの言葉は、幼いながらも力にあふれていました。


◆ ひとりごと ◆


被災地へ続々と支援の手が差し伸べられています。

富山では、東北関東大震災の被災地へ、県民が協力し合い、

病院から医師や看護士が派遣されたり、救援の物資を

各家庭から持ち寄るなどの様子が報道されていました。

また、被災地から富山へ避難して来られた方の受け入れも

始まっています。

私の身の回りでも、物資を持ち寄ったりして、

今日、知人も救援物資を車に積んで被災地に向かいました。


ニュージーランドでの大地震で、多くの富山の専門学校生が

亡くなり、あれから、1ヶ月が経とうとしています。

クライストチャーチの被災者の皆さんは、悲しみの癒えない中、

追悼式典が開かれた今日、日本で起きた震災の被災者を

思いやる声が多く聞かれたといいます。


中国の知人から、心配するメールが届き、その中に、

被害に遭いながらも、秩序をたもって行動する日本人の姿が

強く印象に残っている、とありました。


世界各国が見守る中、予断を許さない状況が続いていますが、

昨日よりは今日、今日よりは明日、少しでも良い方向に進むよう

努めると同時に、仏縁を念じ、光に向かいたいと思います。




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