人間とは、どんなものか?
その答えを、お釈迦様は譬えで教えておられます。
ある日、お釈迦様の話を聞きに、一人の王様が来ていました。
名を、勝光王といいました。
初めて仏法を聴く勝光王に、お釈迦様は、
「人間とは、どんなものか」
を例えで説かれたのです。
◆ ◆ ◆
それは今から幾億年という昔のことである。
ぼうぼうと草の生い茂った、果てしない広野を、
しかも木枯らしの吹く寂しい秋の夕暮れに、
独りトボトボと歩いていく旅人があった。
帰途を急ぐ旅人は、薄暗い野道に、
点々と散らばっている白い物を発見して立ち止まった。
「いったい何だろう?」
一つの白い物を拾い上げて旅人は驚いた。
「人間の白骨ではないか!!」
不気味な不審を抱いて考え込んだ。
「どうしてこんな所に…、
しかもたくさんの人間の白骨があるのだろうか?」
そんな旅人に、まもなく前方の闇の中から、
異様なうなり声と足音が聞こえてきた。
闇をすかして見ると、彼方から
飢えに狂った、見るからにどう猛で大きな虎が、
こちら目掛けて、まっしぐらに突進してくるではないか!
旅人は、その瞬間に白骨の意味を知った。
自分と同じように、この広野を通った旅人たちが、
あの虎に食われていった残骸に違いない。
同時に旅人は、自分にも同じ危険が迫っていることを直感した。
驚き恐れた旅人は無我夢中で、
今来た道を全速力で虎から逃げた。
しかし、所詮は虎と人間の追いかけっこ。かなうはずがない。
ぐんぐん距離は縮まり、やがて虎の吐く
恐ろしい鼻息を身近に感じて、
「もうだめだ!」
と旅人が思った時である。
どう道を迷って走ってきたのか、
道は断崖絶壁で行き止まりになっていた。
絶望に暮れた旅人は、幸いにも断崖に生えていた木の元から
一本の藤蔓が垂れ下がっているのを発見した。
「しめた!」
旅人は、その藤蔓を伝ってズルズルズルーと下りたことはいうまでもない。
九死に一生を得た旅人が、ホッとして見上げたとき、
せっかくの獲物を逃した虎は断崖に立ち、
いかにも無念そうに、恐ろしい声でほえ続けている。
「やれやれ、この藤蔓のおかげで助かった。
まずは一安心」
と旅人が、下を見た時である。
旅人は思わず口の中で
「あっ!!」
と叫んだ。
底の知れない深い海が広がり、その波が絶えず絶壁を洗っている。
しかも、波間から3匹の大きな竜が、
真っ赤な口を開けて、旅人の落ちるのを待ち受けていたのだ。
旅人は、あまりの恐ろしさに、
再び藤蔓を握り締め身震いした。
しかし、やがて旅人は空腹を感じて
周囲に何か食べるものはないか探して眺め回した。
その時である。
旅人は、今までのどんな時よりも、最も恐ろしい光景を見たのである。
藤蔓の元に、白と黒のネズミが現れ、
藤蔓を交互にかじりながら回っているではないか!
やがて確実に白か黒のネズミに、
藤蔓はかみ切られることは必至である。
絶体絶命の旅人の顔は青ざめ、
歯はガタガタと震えて止まらない。
だがそれも長くは続かなかった。
それは、この藤蔓の元に巣を作っていたミツバチが、
甘い5つの蜜の滴りを旅人の口に落としたからである。
旅人は、たちまち現実の恐怖を忘れて、
すっかり蜂蜜に心を奪われてしまった。
◆ ◆ ◆
お釈迦様がここまで語ると、勝光王は驚いて、
「お釈迦様!
その話は、もうこれ以上、しないでください!
恐ろしくて聞いておれません!」
と叫びました。
「どうしたのか」
お釈迦様が尋ねると、
「その旅人は、なんとバカで、愚かなのでしょう。
そのような危険な所にいながら、
どうして、5滴の蜂蜜くらいに、心を奪われ、
その恐ろしさを忘れるのでしょうか。
旅人がこの先どうなるかと思うと、恐ろしくて聴いておれません」
と王は答えました。
「王よ、この旅人をそんなに愚かな人間だと思うか。
実はな、この旅人とは、そなたのことなのだ」
「えっ!
ど、どうして、この旅人が私なのですか!」
驚く王に、お釈迦様は静かに答えられました。
「いや、そなた一人のことではない。
この世の、すべての人間が、この愚かな旅人なのだ」
お釈迦様の言葉に、聴いていた人たちはみんな、驚いて総立ちになったのです。
「この愚かな旅人とは、あなたのことです」
お釈迦様は厳然とおっしゃっています。
お釈迦様の譬えの意味とは?
私の真実の姿を譬えた話、続きは次回☆
━ ぴょんたの ◆◆
◆◆ ひとりごと ━
26日(木)、高田馬場の勉強会では、
このお釈迦様の譬え話について、一緒に学びました。
お釈迦様の話を聴いていた勝光王が、
「これ以上、おそろしくて聞いておれません!」
と叫んだほどこわい話。
譬えであっても、説かれていることは真実です。
この譬えは、あの「戦争と平和」や「アンナ・カレーニナ」の
作品で知られるロシアの文豪、トルストイも読んだらしく、
「東洋の寓話を読んで、大きな衝撃を受けた」
と語っています。
そして、世界的な名声を博したトルストイをして、
「これ以上、人間の姿を赤裸々に表した話はない。
単なる作り話ではなく、誰でも納得のゆく真実だ」
とまで言わしめています。
“誰でも納得のゆく真実”
スゴイですね。
宗教というと、
“とにかく信じるもの”
と思う人が多いようです。
仏教は違います。
納得いかなければ、納得いくまで聞きなさい、
聞けば誰でも納得できる教えだから、
と言われます。
皆さんも、疑問、質問、大いにぶつけて、
納得いくところまで聞いていただきたいです☆
(*^-^)
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その答えを、お釈迦様は譬えで教えておられます。
ある日、お釈迦様の話を聞きに、一人の王様が来ていました。
名を、勝光王といいました。
初めて仏法を聴く勝光王に、お釈迦様は、
「人間とは、どんなものか」
を例えで説かれたのです。
◆ ◆ ◆
それは今から幾億年という昔のことである。
ぼうぼうと草の生い茂った、果てしない広野を、
しかも木枯らしの吹く寂しい秋の夕暮れに、
独りトボトボと歩いていく旅人があった。
帰途を急ぐ旅人は、薄暗い野道に、
点々と散らばっている白い物を発見して立ち止まった。
「いったい何だろう?」
一つの白い物を拾い上げて旅人は驚いた。
「人間の白骨ではないか!!」
不気味な不審を抱いて考え込んだ。
「どうしてこんな所に…、
しかもたくさんの人間の白骨があるのだろうか?」
そんな旅人に、まもなく前方の闇の中から、
異様なうなり声と足音が聞こえてきた。
闇をすかして見ると、彼方から
飢えに狂った、見るからにどう猛で大きな虎が、
こちら目掛けて、まっしぐらに突進してくるではないか!
旅人は、その瞬間に白骨の意味を知った。
自分と同じように、この広野を通った旅人たちが、
あの虎に食われていった残骸に違いない。
同時に旅人は、自分にも同じ危険が迫っていることを直感した。
驚き恐れた旅人は無我夢中で、
今来た道を全速力で虎から逃げた。
しかし、所詮は虎と人間の追いかけっこ。かなうはずがない。
ぐんぐん距離は縮まり、やがて虎の吐く
恐ろしい鼻息を身近に感じて、
「もうだめだ!」
と旅人が思った時である。
どう道を迷って走ってきたのか、
道は断崖絶壁で行き止まりになっていた。
絶望に暮れた旅人は、幸いにも断崖に生えていた木の元から
一本の藤蔓が垂れ下がっているのを発見した。
「しめた!」
旅人は、その藤蔓を伝ってズルズルズルーと下りたことはいうまでもない。
九死に一生を得た旅人が、ホッとして見上げたとき、
せっかくの獲物を逃した虎は断崖に立ち、
いかにも無念そうに、恐ろしい声でほえ続けている。
「やれやれ、この藤蔓のおかげで助かった。
まずは一安心」
と旅人が、下を見た時である。
旅人は思わず口の中で
「あっ!!」
と叫んだ。
底の知れない深い海が広がり、その波が絶えず絶壁を洗っている。
しかも、波間から3匹の大きな竜が、
真っ赤な口を開けて、旅人の落ちるのを待ち受けていたのだ。
旅人は、あまりの恐ろしさに、
再び藤蔓を握り締め身震いした。
しかし、やがて旅人は空腹を感じて
周囲に何か食べるものはないか探して眺め回した。
その時である。
旅人は、今までのどんな時よりも、最も恐ろしい光景を見たのである。
藤蔓の元に、白と黒のネズミが現れ、
藤蔓を交互にかじりながら回っているではないか!
やがて確実に白か黒のネズミに、
藤蔓はかみ切られることは必至である。
絶体絶命の旅人の顔は青ざめ、
歯はガタガタと震えて止まらない。
だがそれも長くは続かなかった。
それは、この藤蔓の元に巣を作っていたミツバチが、
甘い5つの蜜の滴りを旅人の口に落としたからである。
旅人は、たちまち現実の恐怖を忘れて、
すっかり蜂蜜に心を奪われてしまった。
◆ ◆ ◆
お釈迦様がここまで語ると、勝光王は驚いて、
「お釈迦様!
その話は、もうこれ以上、しないでください!
恐ろしくて聞いておれません!」
と叫びました。
「どうしたのか」
お釈迦様が尋ねると、
「その旅人は、なんとバカで、愚かなのでしょう。
そのような危険な所にいながら、
どうして、5滴の蜂蜜くらいに、心を奪われ、
その恐ろしさを忘れるのでしょうか。
旅人がこの先どうなるかと思うと、恐ろしくて聴いておれません」
と王は答えました。
「王よ、この旅人をそんなに愚かな人間だと思うか。
実はな、この旅人とは、そなたのことなのだ」
「えっ!
ど、どうして、この旅人が私なのですか!」
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「いや、そなた一人のことではない。
この世の、すべての人間が、この愚かな旅人なのだ」
お釈迦様の言葉に、聴いていた人たちはみんな、驚いて総立ちになったのです。
「この愚かな旅人とは、あなたのことです」
お釈迦様は厳然とおっしゃっています。
お釈迦様の譬えの意味とは?
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このお釈迦様の譬え話について、一緒に学びました。
お釈迦様の話を聴いていた勝光王が、
「これ以上、おそろしくて聞いておれません!」
と叫んだほどこわい話。
譬えであっても、説かれていることは真実です。
この譬えは、あの「戦争と平和」や「アンナ・カレーニナ」の
作品で知られるロシアの文豪、トルストイも読んだらしく、
「東洋の寓話を読んで、大きな衝撃を受けた」
と語っています。
そして、世界的な名声を博したトルストイをして、
「これ以上、人間の姿を赤裸々に表した話はない。
単なる作り話ではなく、誰でも納得のゆく真実だ」
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と思う人が多いようです。
仏教は違います。
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